社説/スタートアップ5カ年計画 実現へ「骨太」の支援拡充策を

(2024/6/4 05:00)

政府は月内に策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、スタートアップ支援を拡充する方針だ。スタートアップは経済・社会のイノベーションの突破口として期待される。すでに政府は、2027年度までの5カ年で、スタートアップへの投資額を10倍の10兆円規模に引き上げる目標を掲げている。この実現に向けて支援が拡充され、起業と投資がさらに促されると期待したい。

政府は1年半前の22年11月に「スタートアップ育成5カ年計画」を決定。27年度までにスタートアップへの投資額を10倍に引き上げ、将来的に10万社の起業を目指す目標を掲げている。

初年度となる23年度は、成長段階に入ったスタートアップによる大型の資金調達が目立っていた。ロボットや自動運転関連などのスタートアップで数10億-100億円超に達する。経営が軌道に乗り始めた「シリーズB」、黒字化した「シリーズC」での調達が堅調なようだ。

これに対し、顧客が増え始めた段階の「シリーズA」や、起業前の調達額は1―2ケタ小さい。政府は骨太の方針で、こうした企業への支援を資金・人材の両面で充実してもらいたい。

中でも、研究開発用の設備や資材を必要とする事業では、当初から多額の資金が必要だ。そのため、目前の売り上げを立てることに人手と時間が割かれ、本来目指している開発に影響が及ぶ場合もある。新規株式公開(IPO)も遅れれば、資金調達力はいつまでも向上しない。

政府は現行の5カ年計画で、スタートアップの成長ステージに応じて3段階の支援に取り組んでいる。第1段階は、起業に向けた人材・ネットワークの構築。起業経験者が助言役となる支援事業などがある。第2段階は資金供給の強化、第3段階はオープンイノベーションの推進で、スタートアップへの投資を税制面などで促している。

政府はこれら施策を拡充し、27年度目標を達成したい。スタートアップの存在感をさらに高めることで、デジタル変革(DX)や脱炭素といった社会的課題の解決を急ぐ必要がある。

(2024/6/4 05:00)

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