社説/骨太の方針(6)財政健全化へ中長期の目標示せ

(2024/6/24 05:00)

政府は、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、経済・財政・社会保障の持続可能性の確保に向け、6カ年の計画に取り組むとした。だが財政健全化に向けた肝心の数値目標は示さていない。他方、5月使用分で終了した電気・ガス料金補助の8―10月再開を唐突に決めるなど、財政健全化をめぐるチグハグな対応が懸念される。政府は早期に新たな財政健全化目標と道筋を示す必要がある。

2025―30年度の6カ年の「経済・財政新生計画」では、成長型経済への移行に加え、全世代型社会保障の構築など踏み込んだ歳出改革を実施する。経済成長だけで財政や社会保障の持続可能性は確保できず、大胆な歳出改革を避けて通れない。だが骨太方針では、25年度に国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が視野に入るとしながら、25年度以降の数値目標や道筋が示されなかったのは残念だった。

国民の将来不安を払拭し、財政への市場の信頼を維持する上でも早期の策定が求められる。

岸田文雄首相は骨太方針を閣議決定した後の会見で、電気・ガス料金への補助の再開や、今秋に低所得者らへの給付金を盛り込んだ経済対策を検討すると表明した。低迷する内閣支持率が見え隠れする歳出圧力は、骨太方針との整合性を問われる。

骨太方針で、全世代型社会保障の構築やEBPM(証拠に基づく政策立案)の強化を盛り込んだことは評価できる。高収入の高齢者に医療費で応分の負担を求め、現役世代の負担増を抑える。厚生年金は短時間労働者への適用拡大を検討する。国民の理解を得つつ、改革の歩みを進めてほしい。またEBPM強化により歳出の検証を徹底し、次なる政策に反映させて「賢い支出」につなげたい。経済同友会はEBPMの法制化などを提言しており、政府はこうした指摘にも耳を傾けてほしい。

政府は30年代初頭に少子化対策の予算倍増を掲げる。経団連が指摘するように、財源は将来の消費増税も選択肢に加え、官民で議論を深める時期を迎えつつある。(この項おわり)

(2024/6/24 05:00)

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