(2024/7/4 12:00)
―プラントの設計・調達・建設(EPC)における課題は。
「工事の7割がゴミ焼却施設や橋梁(きょうりょう)などの公共工事で、残りが電力、ガスなどの民間工事だ。ゴミ焼却施設では入札前の準備、提案から契約に至るまで5年はかかるなど足が長い。落札後に契約が始まるが、それまでに工事業者を押さえて人手を確保する必要がある」
―足元の状況は。
「明らかに工事業者やプラント部品を手がける機械ベンダーは人手不足だ。5年先の仕事の業者の確保も難しい。プラント建設でいかに人手を確保して、ニーズに対応してもらうかを考えなければならない。業者側も手いっぱいで断られることもあれば、1社からしか見積もりをもらえないケースもある」
「地域特性のある業者の場合、遠方地域への2―3カ月の長期出張に対する抵抗もあるようだ。半導体需要で沸く熊本県や北海道に加え、大阪・関西万博関連工事などに局地的に地元業者が集中しているのかと思いきや、そうではない。特定の工事に限らず、国内全てのプラントや都心の再開発工事などで納期が延びている」
―人手不足の課題に対する打開策は。
「プラントは受注して初めて仕事になる。工事ごとに適切な価格の業者に発注する。多様なベンダーを確保しなければ、コストも高止まりしてしまう。新たな取引先の確保が求められる。地政学リスクや為替、スエズ運河の海上輸送問題など懸念材料は多い。ボイラー調達などで中国ベンダーに頼ってきたが、今後は国内メーカーに加え、台湾やベトナムの取引先を増やす。多少の価格差には目をつぶって選択肢を増やさなければならない」
―人手不足を補う自動化やM&A(合併・買収)の考え方は。
「工場や設計業務での人工知能(AI)やロボット、デジタル変革(DX)活用には取り組んでいる。当社が中堅の工事業者や設備業者を買収するということもあり得るかもしれない。ただ、その場合はその労働力を確保するための仕事量を確保する必要があり、リスクも高いだろう」
(2024/7/4 12:00)
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