(2024/7/8 12:00)
産業技術総合研究所中部センターはロボットを活用した自動実験を取り入れ、セラミックス化学焼結プロセスの条件探索を高速化する手法を確立した。高温で焼き固めずに、100度C以下の低温で機能性セラミックス固体を製造する同プロセスの研究では、材料組成など条件探索につながる大量のデータ取得が基礎となる。粉体秤量(ひょうりょう)に自動化装置や人協働ロボットを活用し、短時間で多くの実験が可能になった。
化学反応でセラミックスを製造する同プロセスは、原料となる2種類以上の粉体を混合し、100度C以下で保温静置するだけで反応が進行する。多くの組み合わせの試料を調製できる秤量の自動化による実験の効率化効果は大きい。
ロボットを活用するハイスループット自動実験は導入が増えつつあるものの、粉体原料はロボットでの取り扱いが難しい。中でも「秤量が自動実験の課題になっている」(山口祐貴極限機能材料研究部門主任研究員)。
同プロセスの研究では2022年4月に自動実験を本格化。粉体秤量自動化装置を使ったところ、一つの組成を約10分で調製し、8時間で最大48通りの合成実験が可能になった。手作業で1カ月以上かかる合成、製造実験をロボットが24時間運転すれば1日で行えるという。
またグローブボックス内で行う実験でも、愛知工業大学ロボット研究ミュージアムCOBOTTAプロジェクトチームと共同で自動化に取り組んだ。人協働ロボットに「からくり」機構を融合し、容器内の粉体原料をならすなど人間に近い動作の再現に迫った。
自動実験の効果は研究成果に表れた。実験の自動化で得た大量のデータを用いて、材料組成などを人工知能(AI)で予測したところ、数十種類の複合酸化物セラミックス固体を同プロセスで製造できることを確認した。
実験の自動化で「時間の有効活用が進んできている」(同)。人協働ロボットの稼働は現在、研究者が在室する昼間の時間帯が中心。安全性の確立を視野に入れながら、活用方法を探っていく。
(2024/7/8 12:00)
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