“ナビと対話”目的地正確に パイオニア、生成AIで性能向上

(2024/7/8 12:00)

パイオニアは生成人工知能(AI)を活用し、カーナビゲーションなどの自社製品・サービスの機能や使いやすさの向上に取り組んでいる。これまで音声ナビゲーション機能を持つ車載機器「NP1」や、スマートフォン向けアプリケーションの開発などで培ってきた知見を生かし、さらなる性能向上を図る。

  • AIとの自然対話を通じ、車を走らせながら詳細な目的地設定を可能にする(カーナビアプリへの生成AI搭載のイメージ図)

パイオニアは車載機器やスマホ用アプリでの実装を視野に入れ、米マイクロソフトの生成AIサービス「アジュール・オープンAIサービス」を活用した技術検証を進めている。その一例が、運転手とAIとの自然対話を通じて、車を走らせながら詳細な目的地をカーナビで設定する技術だ。

例えば空港のような敷地が広大な施設を目的地に設定するケース。通い慣れた人でない限り、敷地内に複数ある出入り口や建物などをピンポイントで目的地として入力するのは困難が伴う。

そこで生成AIの出番。空港に向かう場合であれば、「空港に友人を迎えに行く。その友人はA社の航空便に搭乗している」といった詳細情報を運転手とAIの自然対話の中から導き出し、カーナビのより正確な目的地設定に役立てるという仕組みだ。

現在のカーナビは走行中に運転手と対話しながらの目的地設定はできないが、生成AIを活用することで「ユーザーのあいまいな情報と目的地をつなぐ」(コーポレートR&D部の菅原啓太郎部長)ことが可能になるとみる。スマホ用アプリを活用した技術検証も実施している。

近年、自動車の自動運転技術の進展に伴いAI対応の電子チップが活用されている。自動運転車両の安全・安心な走行を支えるだけでなく、今後は車室内サービスなどでもAI技術の活用が期待されている。

  • カーナビとドラレコを組み合わせた車載機器「NP1」。AIプラットフォームを搭載し音声操作などに対応する

実際、カーナビとドライブレコーダーを組み合わせた車載機器であるNP1にも、自社開発のAIプラットフォームを搭載。音声による操作に対応し、案内も音声で行う。運転手は画面を見たり触ったりする必要がないため、より安全な運転につながる。

さらにNP1ではAI画像解析を活用し、送迎用バス内の子どもの置き去りを検知する機能を付けた特別仕様も用意した。高性能マイクによる音声検知と組み合わせた「二重の仕組み」で置き去りを自動検知し、警報音やスマホのショートメッセージサービス(SMS)で通知する。

運転手とAIとの自然対話は、こうした既存の技術をさらに一歩進めた取り組み。現在はシステムの応答速度や、運転手に提供する情報の正確性の向上に取り組んでいる。VoiceHMIチームの田淵大将氏は「(ナビで提供する情報の)精度は上がっているので、技術をキャッチアップしながら製品に反映したい」と話す。

(2024/7/8 12:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

図解よくわかる 実践!スマート農業

図解よくわかる 実践!スマート農業

原子力年鑑2025

原子力年鑑2025

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい物流現場改善の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい物流現場改善の本

カラー版 目で見てわかる 測定工具の使い方・校正作業

カラー版 目で見てわかる 測定工具の使い方・校正作業

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン