(2024/7/12 17:00)
観測データ、他分野に活用
米国を中心に宇宙開発が加速する中、他国より早く宇宙分野に注目していたのがルクセンブルクだ。日本の宇宙企業をはじめとして同国に拠点を置く企業も多く、欧州との宇宙開発をつなぐカギとなる地域に位置付けられている。ルクセンブルク宇宙機関のマーク・ゼレス最高経営責任者(CEO)に日本との連携や今後取り組みなどを聞いた。
―日本の宇宙開発をどう見ていますか。
「日本初の探査機による月面着陸の成功が話題になる中で、ルクセンブルクに拠点を持つispace(東京都港区)の宇宙船の月着陸に注目していた。着陸には失敗したが、次回の挑戦にも期待している」
―ルクセンブルクには、宇宙ベンチャーを含めた多くの企業の拠点が存在します。
「現段階で宇宙関連企業だけで80社以上の拠点があり、通信衛星事業やアプリケーション開発の企業が多くみられる。日本の企業の参入も増えてきた。ルクセンブルクでは拠点を置く企業を支援する仕組みはあるが、目的と利益の創出などを考えながら検討してほしい」
―日本では宇宙戦略基金が策定され、宇宙開発に関わる企業の支援に乗り出します。
「企業を支援するのは良い動きであり、経験の共有や事業支援に近い取り組みだと感じる。ルクセンブルクでは宇宙開発の技術の商業化に向けた支援に注力しており、技術開発への支援がメーンの日本とは方向性が異なる支援を進めている。他にも、企業への技術支援や投資家の検討、欧州宇宙機関(ESA)と連携したファンドの導入なども進めている」
―今後の目標は。
「ルクセンブルク宇宙機関が制定した宇宙戦略を2025年に見直す予定だ。宇宙ビジネスの中でも地球観測衛星が取得したデータを他分野に活用することで、欧州の強みである金融や保険などの分野に生かせるとみている。宇宙のインフラセクターに着目し、非宇宙企業のビジネス促進の機会としたい」
(2024/7/12 17:00)
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