インタビュー/戸上電機製作所管理本部人財開発センター工師・田中正直氏 “カイゼン”できる主体性・応用力を

(2024/7/16 12:00)

戸上電機製作所は開閉器や配電盤などを手がける。同社で金型の機械加工に50年近く携わってきたのが田中正直氏。現在は「工師」として主に後進の指導に取り組む。仕事に向き合う心意気と育成方針などを聞いた。

  • 技能五輪出場の経験を職場で生かしてほしい…と田中氏㊧

―これまでの経歴と現在の仕事は。

「一貫して機械加工に取り組んできたが、40代に約5年間、子会社の戸上化成(佐賀市)に出向してプラスチック金型の加工をしたのも技能の幅を広げる経験を積めたと思う。2022年1月1日付で、工機グループから管理本部人財開発センターの所属となり、技能五輪全国大会に出場する当社選手の指導に当たっている」

―選手の指導、育成で心がけることは。

「機械加工における“カイゼン”ができる主体性と応用力を磨いてほしい。競技を通じて得たことを職場に戻った際に生かして、活躍してもらいたい。現在、工場はプログラミングされた機械の使用が主流だが、技能五輪は手動で動かす機械。できた時の喜び、できなかった時の厳しさを知ることを次の世代につなげていきたい」

―加工の原理原則を学び直す機会ですね。

「図面を見て加工するために必要な測定値の把握も重要。CAD頼みでなく関数を駆使して寸法を出す“手計算”がしっかりできるようになってほしい」

―技能五輪への参加をどうとらえますか。

「上位を目指すのが目標だが、目的は職場に戻った時。人は財産の意味で『財』が付く当社の人財開発センターも20年3月に研修センターから改称した。モノづくり、製造業は人あってこその意味が込められている。微妙な回転数の違いや削りしろを肌で感じて、数値制御(NC)フライス盤などのプログラミングにも、手で加工する感覚をうまく取り入れることも不可欠だ」

―時代とともに、技能伝承の手法で変わる部分はありますか。

「プレス金型は量産ではなく『一品一様』。私の場合、若い頃は上司から教えてもらった後は先輩、同僚とその都度、相談しながら、技能を高めてきた。今は1年目にマンツーマンで付いた後、2年目以降は見守ることが主体。若い人には地域や社会にも感謝するとともに、素直な心を持ち続けることが技能向上に重要と伝えている」

(2024/7/16 12:00)

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