(2024/8/6 05:00)
“円安バブル”が崩壊しつつあるように映る。これまでは想定外の円安が企業業績を潤し、株価もバブル期超えを果たしてきた。だが歴史的な円安は、そもそも日本経済の実体を反映したものではなく、日米の金融政策の転換で簡単に崩れる。企業は円安バブルに別れを告げ、成長投資を推進することで業績と株価を引き上げていきたい。
5日の東京市場は1ドル=141円台まで円高が加速し、日経平均株価の終値も先週末比4451円安の3万1458円と過去最大の大暴落となった。7月には為替は同161円台、株価は4万2000円超を記録していたが、円高・株安への急な動きが市場の景色を一変させた。
軟着陸を目指した米国経済の先行きが怪しくなり、米国が9月から大幅な利下げに動くと市場はみる。日銀もさらなる利上げが視野にあり、円安を支えた日米金利差は縮小に向かいつつある。低金利の円を売り、高金利のドルを買う投機筋の円キャリー取引も妙味が薄まる。日米金利差や投機筋の思惑で歴史的な円安となった為替相場は、修正局面を迎えたようだ。
経団連の十倉雅和会長は、為替が1ドル=150円を超えた5月に「円安過ぎる」とし、日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映していないと指摘していた。株価が4万2000円を超えた7月には「円安の影響で日本企業の業績が総じて好調であることが背景にあり、もろ手を挙げて喜べない」と指摘。「ファンダメンタルズを反映した為替水準にすることも必要だ」と語っていた。
歴史的円安で企業業績が底上げされ、バブル期を超えた株高の実現は、円安バブルの様相を呈する。もちろん株高の要因はこれだけでなく、賃金も物価も上昇する成長型経済への移行や企業価値向上への期待もある。だが個人消費が停滞する中での株高は、日本経済の実体と乖離(かいり)があったのも否めず、過熱気味に映ることもあった。
日本企業は円高の一段の進行も見据え、稼ぐ力を引き上げることで、株式市場からの評価を高めることが求められる。
(2024/8/6 05:00)
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