(2024/9/17 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)は17、18の両日に開く会合で利下げを決め、金融政策を転換する見通しだ。利下げは4年半ぶり。インフレ抑制から景気下支えに軸足を移し、米国経済の軟着陸を目指すことになる。焦点は利下げ幅で、踏み込めば円高の進行が想定される。11月の米大統領選の結果が為替や米FRBの金融政策に及ぼす影響にも注視する必要がある。
米FRBのパウエル議長は8月23日、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演で、金融政策を「調整する時期がきた」と語り、9月会合での利下げをほぼ明言していた。インフレリスクが軽減した一方、雇用の下振れリスクが高まったことが背景にある。景気に目配りした政策転換と評価できる。
ウクライナ情勢を機に、米国の消費者物価指数(CPI)は2022年6月に前年同月比9・1%も上昇。米FRBの利上げ効果などで、直近の8月は同2・5%上昇まで落ち着いた。一方、8月の非農業部門の就業者数は前月比14・2万人増と市場予測の17万人増を下回り、経済減速が懸念されていた。
今回の利下げは適切なタイミングだが、問題は利下げ幅だ。政策金利を通常の2倍に当たる0・5%引き下げるのか、それとも0・25%にとどめるか注視したい。16日の外国為替市場は大幅な利下げを予測して一時、1ドル=139円台まで円高が進んだ。円安修正への局面転換となる可能性があり警戒したい。
米国の4―6月期の実質成長率は年率換算でプラス2・8%と堅調だ。米FRBはこの堅調を維持しつつ、インフレを抑える難しい政策運営が求められる。中国が不動産不況によるデフレ懸念を拭えないだけに、世界経済の減速を回避する上でも米国経済を軟着陸させる必要がある。
他方、米大統領選で民主党・ハリス氏の優勢が伝えられると円買い材料となる。トランプ氏が掲げる歳出拡大や減税、関税引き上げはインフレ再燃と円安・ドル高に傾きやすい。米大統領選の行方が米国経済や為替動向、さらに日銀の政策判断にも影響を及ぼすと留意したい。
(2024/9/17 05:00)
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