(2024/9/18 05:00)
企業の想定為替レートを上回る円高局面を迎えている。17日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=140円台で推移し、想定レートより約5円の円高だった。為替差損による採算悪化が懸念される。だが、そもそも同150円を超える円安は日本経済の実体を反映したものではなかった。企業は円ドル相場の局面変化を見据え、成長投資を一段と強化することで収益構造と株価を引き上げていきたい。
外国為替市場では日米の金利差縮小が意識され、円高基調にある。16日のアジア市場では約1年2カ月ぶりに1ドル=139円台まで円高が進み、17日の東京市場も同140円台で推移。日銀の調査では、2024年度上期の全規模・全産業の想定為替レートは1ドル=144円96銭で、為替差損が発生する円高水準にある。堅調な企業業績に水を差さないか懸念される。
17日の東京株式市場も円高を嫌気し、日経平均株価が前営業日比で一時750円以上も下落。株価に一喜一憂する必要はないが、逆資産効果が個人消費に及ぼす影響には留意したい。
足元の円高進行は、米連邦準備制度理事会(FRB)が17、18の両日(現地時間)に開く会合で、政策金利を通常の2倍に当たる0・5%引き下げるとの市場の観測が背景にある。懸案のインフレが落ち着いた中、先行きが懸念される雇用情勢を強く意識した判断が下されるか注視したい。日銀は19、20の両日の会合で政策を据え置くとの見方が有力で、一段の円高・株安を促しかねない利上げの見送りとなれば適切な判断と言える。
7月に為替は1ドル=161円台、株価は4万2000円超を記録していた。歴史的な円安が輸出関連株を大きく押し上げ、“円安バブル”の様相を呈していた。経団連の十倉雅和会長も「もろ手を挙げて喜べない」と語っていた。それが一転、足元では20円以上も円高となり、局面が変化しつつある。日本企業は円高の一段の進行も想定し、成長投資により収益基盤の強化に向かいたい。政府・日銀は市場との対話を重ね、急激な為替変動はけん制する必要がある。
(2024/9/18 05:00)
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