(2024/9/19 05:00)
日銀が10月1日に発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が小幅に改善する見通しだ。半導体需要の回復や自動車生産の持ち直しによる。日銀は調査前の7月末に利上げに動き、8月に株価の乱高下や大幅な円高に見舞われていた。それでも業況は悪化しないと予測する。ただ中国経済や為替など先行き不透明なリスク要因には引き続き警戒が必要だ。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業割合から「悪い」回答割合を差し引いた値。シンクタンク7機関の予測によると、前回6月調査でプラス13だった大企業・製造業の同DIは平均で13・4だった。5機関がプラス14と1ポイントの改善を見通す。改善すれば2四半期連続となる。
半導体が回復局面に入り、自動車の認証不正問題に伴う減産の影響も収束しつつある。高止まりする原材料費などの価格転嫁も進んだとの判断だ。日銀が7月末に金融引き締めに動き、株価の乱高下と円高進行を招いたものの、景況感を大きく後退させていない点に注目したい。
8月の平均為替レートは1ドル=146円台。7月の同157円台から大幅な円高となった。物価抑制のプラス効果と、輸出に不利なマイナス効果がせめぎ合っているとの見方もある。
ただシンクタンク7機関のうち4機関は、先行きの同DIをプラス14と横ばい、2機関はプラス11ないしプラス12と悪化を見込む。中国経済の減速や円高進行をリスク要因とみており、円高の一段の進行が企業の景況感を悪化させる可能性には留意したい。
大企業・非製造業の同DIは前回6月調査のプラス33に対し、シンクタンク7機関は平均でプラス31・7と、小幅に悪化すると予測する。人手不足や相次ぐ豪雨・地震などの自然災害が景況感を悪化させた。他方、賃上げやインバウンド(訪日外国人)需要の拡大がプラスに作用し、DI自体は歴史的な高水準にある。
ただ先行きDIは、人件費の増加や円高進行、金利上昇などのリスクを勘案し、5機関が悪化予測だ。日銀の今後の政策に影響を及ぼすか注視したい。
(2024/9/19 05:00)
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