社説/衆院解散・総選挙 山積する難題で幅広い論戦を

(2024/10/10 05:00)

臨時国会の会期末である9日、衆議院が解散した。1日の首相就任から解散までの期間は戦後最短。臨時国会では予算委員会が開かれず、裏金問題をめぐる与野党論戦が尽くされなかったのは残念だった。27日投開票の衆院選で、自民党は有権者から「納得と共感」を得られるのか、野党に政権を担う能力があるのかが厳しく問われよう。

他方、石破カラーは薄れたものの、岸田文雄前政権の経済政策と安全保障を引き継ぐのは適切な判断だ。政策の継続性は外交はもとより、成長型経済への過渡期にある経済運営でも求められる。石破政権は有権者の審判を経て、デフレ完全脱却への確かな道筋を描いてほしい。

自民党は9日、裏金問題をめぐり、政治資金収支報告書に不記載があった議員など合計12人を衆院選で党公認としないことを決めた。石破首相は当初、裏金議員の非公認に後ろ向きだったが、世論の厳しい批判に応じざるを得なかった。野党は踏み込み不足との批判が相次ぐが、党内対立も覚悟した厳しい対応に傾いたものと評価したい。

衆院選後は、独立性を確保した第三者機関による政治資金の管理や、政策活動費の将来的な廃止に向けた議論を深め、有権者の政治不信を拭ってほしい。

石破首相が総裁選で掲げた政策は、脆弱な党内基盤を背景に石破カラーが薄れている。だが結果として、岸田前政権の経済政策を踏襲したことで、経済界に安心感を与えたように映る。日本経済はデフレから完全脱却できるかの瀬戸際にあり、賃上げを起点とする経済好循環の実現に向けた施策は継続したい。

エネルギー政策も「安全確認を大前提に、原子力発電所を活用することも必要」との考えに軌道を修正した。現実的な路線への変更と評価したい。エネルギー安定供給と脱炭素の両立に向け、原発再稼働・新増設への指導力を発揮してもらいたい。

他方、衆院選は野党の政策担当能力も問うことになる。裏金問題にとどまらず、経済や少子化、安全保障、エネルギー問題など、山積する難題で与野党論戦を繰り広げてもらいたい。

(2024/10/10 05:00)

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