NISSHA、機能性付与 CASEで商機拡大

(2024/10/16 12:00)

  • 加飾技術で樹脂部品に意匠性や機能性を付与する

NISSHAは自動車の内装・外装向け加飾フィルムや成形品を手がける。内・外装のデザインは車のブランド戦略に関わるため、完成車メーカーと直接対話し、フィルムや成形品を作り上げる。いち早くデザインや技術のトレンドを把握し、製品や技術の競争力を高めてきた。近年はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展を事業拡大につなげるべく、取り組みを加速している。

同社の加飾技術は車の樹脂製内装部品を金属や木のような外観にしたり、耐久性などの機能を加えたりできる。金型に絵柄や機能を付与したフィルムを挟み、溶かした樹脂を流し込んで一体成形する。位置合わせの技術を駆使し、ロール・ツー・ロールで高い生産性を実現する。

加飾フィルムは国内で、成形品は自動車の生産拠点に近い日本やドイツ、北米、中国、マレーシアで製造する。社内にデザイン専門チームを抱えており、日本を中心にドイツ、北米、中国の世界4極にデザイナーを配置。顧客と密にコミュニケーションを取りながら、顧客が持つデザインのイメージを印刷や成形技術で再現する。

これまで自動車分野のフィルム加飾成形品は内装向けがほとんどで、外装向けはわずかだった。だがCASEの進展で外装部品に求められるデザインや機能の変化が予想され、外装向けもさらなるビジネスチャンスがあるとみる。

同社モビリティ事業推進ユニット開発一部の佐々木潤部長は「車が『外』に情報発信するようになるのでは」と話す。成形品の裏側に光源を組み込み、自動運転状態であることを他のドライバーや歩行者に知らせる表示などで、光を透過する加飾技術が求められると想定する。

電気自動車(EV)はエンジン冷却のための大きなフロントグリルが不要になり、デザインの自由度が高まる。自動車の顔として全体の印象を左右するため完成車メーカーが重要視する箇所で、NISSHAの強みが生かせる領域とみている。

(2024/10/16 12:00)

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