インタビュー/コベルコ建機 執行役員生産本部長兼調達部長・西田吉男氏 地政学リスク対応 中国依存軽減・インド増強

(2024/10/24 12:00)

―建設機械部品の対外調達比率は。

「調達比率は金額ベースで85%。同業他社と比べても高いほうだと思う。自社で生産しているのはベアリングや油圧機器、足回り品の一部くらいで他はエンジンも含め、ほぼ対外調達。もっとも対外調達と言っても汎用品を単に市場から買うのではなく、サプライヤーとの共同開発だ。設計段階から一緒に作業して、独自の品質規格や性能要求に合わせている」

―対外調達比率を今後引き下げる考えは。

「現時点ではない。内製化したい気持ちはあるが、制御バルブ一つをとっても多額の設備投資が必要。建機は生産台数が少ないため価格競争力を出せず、油圧機器など専業の大手に任せるのが望ましい。国内工場では約7割を国内サプライヤーから調達、残りは中国や韓国から製缶品と足回り品を調達している。中国工場の現地調達率は9割以上でインド工場は6割弱、タイ工場は5割弱だ。タイ工場は中国やインドから調達している」

―地政学リスクへの対応で中国市場依存からの脱却と、インド工場の製缶品の生産能力増強を掲げています。

「中国工場の依存率は将来さらに引き下げたい。インド工場の年産3000台から同4700台への能力増強工事はすでに完了した。建機需要が盛り上がらず実際の生産は能力の半分程度だが、この期間を利用して品質を高めるための従業員教育を進めている。製缶フレームの重要部品は工場で内製化できるまでに上達し、サプライヤーにも技術指導を行っている」

  • 製缶能力の増強工事が完了したインド工場

―海外工場の技術レベルが上がると国際競争力にもプラスです。

「インド工場では独自に溶接の技能認定や改善活動も行っている。技術指導でサプライヤーの品質も上がっている。中国依存度を下げるためにも、インド工場からの部品供給をこの先増やしたい。タイ工場以外に、日本への供給も考えている。タイ工場からは豪州への製品供給以外に米国への輸出もにらむ。日本の工場とタイの工場、インド工場が補完し合える体制を構築したい」

(2024/10/24 12:00)

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