ロッテホールディングス、低温輸送の効率化に着手 翌々日配送で運転手の負担減

(2024/10/24 12:00)

ロッテホールディングス(HD)グループのロッテは「物流の2024年問題」によるトラック運転手の実質稼働時間の減少と人手不足に対応するべく、物流の効率化を進めている。配送時のリードタイム削減、共同配送、検品レスが取り組みの3本柱だ。製造するアイスクリーム、菓子は特に配送での温度管理が厳密だったり、特殊なパレットを使ったりするなど難点がある。デジタル変革(DX)など工夫を凝らして課題を解決する。

  • アイスや菓子の配送は、厳密な温度管理や特殊なパレットを使うなど難点ががある

ロッテは菓子、アイスクリームの製造販売が主な業務。取り扱う商品数は菓子が200強、アイスが160ほどで、菓子は18度C―22度C、アイスはマイナス18度C以下の定温輸送となる。倉庫施設も同様の温度管理が必要で、常温輸送の米菓や加工食品などとの共配が難しい。

製品は浦和工場(さいたま市南区)、滋賀工場(滋賀県近江八幡市)など国内4工場から営業倉庫と呼ぶ委託先の倉庫施設に運ぶ。これを1次物流とする。営業倉庫から卸業者に配送するのが2次物流だ。配送、倉庫とも業者に委託しており、ロッテのSCM本部が委託先の選定やトラック台数など物流面を管理している。

平野敏久執行役員SCM本部本部長は「労働人口が減る中で、製品を届け続ける」とし、抜本的な物流改革に着手した。一つは、トラック運転手の荷待ちや付帯業務の削減を目指した翌々日配送製品の拡大。従来は翌日配送がほとんどだったが、取引先と交渉し翌々日配送にシフトしている。配車計画が組みやすく、効率化と配送品質の向上を見込める。営業倉庫の荷物を受けるバースも予約制にして、待ち時間を減らした。

9月には配送関連の新システムを導入し、在庫管理の精度を高めた。宮田淳一SCM本部SCM戦略部部長はスーパーマーケットの特売などの情報を共有し、「配送の変動要素を早めに把握して追加配送などのロスを抑制する」と説明する。また、新システムでは2次元コード(QRコード)による管理で荷受け側の検品を不要にできるほか、「倉庫から別の倉庫へといったムダな配送も削減できる」(山本豊SCM本部物流部部長)という。

共配は定温輸送と独自のパレット形状という問題があるため徐々に進めていく方針。とはいえ、7月にカバヤ食品(岡山市北区)と、埼玉県と岡山県間の鉄道貨物輸送で協力するなど動き始めている。今後もウィンウィンとなる共配先を探していく考えだ。

(2024/10/24 12:00)

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