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(2023/10/10 00:00)
マグネスケールは信号状態モニタリング機能付き「マグネスケール」の開発を進めている。工作機械に装着されたスケールが自身の異常や信号状態を検知して、CNC装置上でモニタリングすることで、不意の故障による稼働停止を防ぐために活用する。併せて、スケールから得られた計測データを機械の安定稼働に役立てる機能も提供。モニタリング機能の最終目標は、工作機械が必要とするデータを提供することで、今後CNCメーカーと工作機械メーカー共同で開発していく。メカトロテックジャパン2023で新機能のコンセプトを披露する。
マグネスケールは、磁気記録されたスケールから出る磁界をセンサで読み取ることで長さを測る磁気式スケールの一種。光学式スケールに比べて油や結露の影響を受けにくいのが特徴。過酷な環境でも使用できるため高精度な工作機械の移動軸に組み込まれ、機械テーブルの位置を制御するために使われている。同社は用途に応じて直線タイプやロータリータイプをラインナップ。2015年には最小5nmの移動量を判別できる「SmartSCALE」を開発し、高い耐環性能と高分解能を両立させるなど要素技術に磨きをかけてきた。
故障しにくいスケールを実現
開発中の自己診断機能を搭載することで、工作機械の稼働前にスケールの状態を確認でき、スムーズなメンテナンスにつなげられる。また、従来は工作機械からスケールをとり外さないと、スケールの状態判断できなかったが、本機能により工作機械の操作画面上でスケールの状態を正確に把握できるようになる。何らかの理由で機械が止まったとき、「スケールが原因なのか。それとも別の要因があるのか」がすぐにわかり、稼働停止時間を最小限に抑えることが可能になる。
同社が信号状態モニタリング機能の開発に取り組む背景には、機械加工現場を取り巻く環境の変化がある。労働人口の減少が進み、工作機械メーカー各社が無人での長時間稼働をユーザーに提案、自動化を推し進めている。そうした中、オペレータの不在時に機械が止まってしまい、そのままになることがないよう「これからのスケールには“予知保全・予防保全機能”が求められる」と大塚真也マグネスケール事業本部機械設計部長は指摘する。
位置情報の把握以外にも活用
さらに同社では、スケールから得られる信号を有効活用するための機能も提供する。通常、スケールから得られる信号は機械テーブルの位置を制御するためだけに使われるが、新機能では得られた信号の状態をモニタリングし、工作機械の精度を継続的に維持し、故障によるマシンダウンを低減するために役立ててもらう。
また、次の段階ではさらに、速度、加速度、温度、振動周波数などの工作機械が必要とする有用なデータを提供できるようにすることで、工作機械の性能アップに貢献できる製品を目指す。開発に携わる武井祐介機械設計部直線スケール設計課長は、「スケールから得られる生の情報はまだ活用の余地がある。工作機械側でどう役立てられるかを考え、CNCメーカーと工作機械メーカーに提案していきたい」と話す。
正確な位置情報を工作機械側にフィードバックするという本来の機能に加え、新たな付加価値をプラスしたマグネスケールは2024年中の発売を予定する。
(2023/10/10 00:00)