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[ エレクトロニクス ]
(2018/12/8 05:00)
アップルやクアルコムなど、半導体製造は激変
米インテルは30年余りにわたり、半導体製造で支配的地位にあった。だが今は、多くの米国人にとってなじみのない企業である台湾積体電路製造(TSMC)からの脅威にさらされている。
TSMCは1987年、自前の設備を建設する資金がない企業向けに半導体を量産するために設立された。こうした受託生産方式に対して当時、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の創業者ジェリー・サンダース氏が「真の男なら工場を持っているものだ」と一蹴したのは有名な話だ。
だが、TSMCの工場が今や半導体製造業界の頂点をかけてインテルに挑戦するまでに成長したことで、そうした嘲笑的な見方は羨望(せんぼう)に変わっている。AMDは最近、最先端プロセッサーの生産委託先にTSMCを選んだ。不振の自社工場は何年も前にスピンオフ(分離・独立)している。
半導体製造の状況は一変し、企業は相次いでTSMCに生産を委託するようになった。TSMCはアップルやクアルコム、AMDなど大手テクノロジー企業から、アンペア・コンピューティングなどのスタートアップにいたるまで、多くの顧客を抱える。こうした部品の受託生産が爆発的に増加したことで、TSMCは小型で高効率、高性能の半導体の量産に必要な技術的ノウハウを蓄積した。
「今は50年に1度の状況だ」と、インテルの元ナンバー2で現在は新興企業アンペアを率いるルネ・ジェームズ氏は述べた。
米アマゾンは新サーバープロセッサ
米アマゾン・ドット・コムはクラウド・コンピューティング・サービスで重要な役割を果たす部品について、米インテルへの依存度軽減へ大きく前進した。
クラウドサービス最大手でもあるアマゾンは11月26日、独自のサーバープロセッサ「Graviton」を発表。クラウドサービス「EC2」の新バージョンを同プロセッサがサポートすると説明した。これはTSMCが製造したもので、これまでアマゾンを含む大手のクラウド業者の多くはインテルの「Xeon」を使っていた。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、アーロン・レーカーズ氏はリポートで、新サービスはインテル製半導体を使うよりも最大45%割安になると試算した上で、「これにより、アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)のクラウドにおけるインテルの地位は競争面からさらに疑問視されるだろう」と指摘した。アマゾン ウェブ サービス(AWS)のマット・ガーマン副社長は、TSMCの製造技術力がなければ、アマゾン単独では実現できなかっただろうと語った。(ブルームバーグ)
(2018/12/8 05:00)