(2014/7/21 05:00)
【『TEDパワー 世界と自分を変えるアイデア』】
―TEDxTokyo(テデックス・トーキョー)は米国のTED(テッド)からライセンスを受け、09年に米以外で開催された初のTEDxイベントですが、TEDとはつまり何ですか。
「TEDを象徴する言葉が二つある。Ideas Worth Spreading(広める価値のあるアイデア)と、人とのつながりだ。TEDの講演ビデオを見るだけでも刺激を受けるが、参加者との交流で得られるものも大きい。今回のTEDxTokyoは5月に東京・渋谷で開かれ500人が詰めかけた。参加応募はその10倍はあるが、交流するにはこれぐらいがちょうどいい」
―なぜ人気なのでしょう。
「インスピレーションがほしいためだ。TEDやTEDxにはさまざまな人たちが集まり、幅広い分野のトークやパフォーマンスが繰り広げられる。新しいアイデアを生み出したり与えたりするコミュニティーとして注目度が高まっている」
―TEDトークを扱ったNHK「スーパープレゼンテーション」の効果も大きいようです。
「最初は番組の名前が合わないと思った。TEDはプレゼンが目的ではなく、あくまでアイデアが主役。でも初めはプレゼンに興味があって番組を見た人でも、次第にアイデアの素晴らしさに目覚めるようになる」
―この本では「日本人には創造的知性がある」と指摘しています。
「日本はモノづくりの創造性と信頼性では世界一。ただ、まったく新しいアイデアを生み出すのは苦手だ。創造的知性はあるが、自信がない。そこでTEDのコミュニティーの中でアイデアを広げながら、その中身にも磨きをかけ、自信をつけていけばいい」
―TEDxの未来は?
「日本には新しいアイデアもメイカーズムーブメントもベンチャー投資家もそろっている。優れたアイデアをもとにプロトタイプを作り、すぐ事業化できる環境にある。我々としてはアイデアを刺激し、人々をつなげ、そのコミュニティーでより多くのベンチャー企業が生み出されるよう、TEDxNippon(テデックス・ニッポン)とでも呼べる活動をスタートさせたい」(藤元正)
【プロフィル】
教育活動家。91年来日し、95年東京インターナショナルスクール設立。09年にトッド・ポーター氏とTEDxTokyo創設。米カリフォルニア州出身。
◇TEDxTokyo代表 パトリック・ニュウエル氏『TEDパワー 世界と自分を変えるアイデア』(朝日新聞出版刊、03・5540・7793)
(2014/7/21 05:00)