[ オピニオン ]
(2015/11/18 05:00)
日立製作所など原子力発電設備関連のメーカーが、廃炉作業の事業体制や技術開発の点で取り組みを本格化している。東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に加えて今後、老朽化した原発の廃炉が始まるためだ。廃炉の作業は数十年にわたる長期戦のため、若い人材の確保や新たな知見の導入など課題も浮上している。人材輩出の仕組みづくりや国際連携の取り組みが求められる。
国内では今後、政府が定めた40年の運転期限に達する原発の廃止措置が本格化する。作業の増加は間違いなく、メーカーも「安全で効率の良い廃止措置を顧客に寄り添って支援する」(幹部)と、その役割を認識している。
すでにメーカー側では廃炉の増加に備え、体制の整備が進んでいる。三菱重工業は7月、廃炉事業を推進する「軽水炉デコミプロジェクト室」を発足。IHIは2014年に「除染・廃炉事業統括部」を設立し、将来は培った技術を通常炉でも活用する。
新たな技術開発も始まっている。日本原子力研究開発機構が来春から楢葉(ならは)遠隔技術開発センター(福島県楢葉町)の試験運用を開始。福島第一の廃止措置などに向け、メーカーや研究機関が廃炉技術を実証する際に利用する。日立や東芝はロボット技術などを開発しているが、さらなる高度化が期待される。
一方で課題もある。大学生らが原子力関連の職場で働くことをためらう傾向があり、若い人材の確保が難しくなっている。「長期にわたる廃炉作業は、多くの世代の人材をうまく循環させる仕組みが重要」(同)であり、人材育成に向けて政府や大学が連携すべきだろう。
また廃炉では安全性に加え、低コストで効率的に作業する技術や経験が求められる。日立GEニュークリア・エナジー(東京都千代田区)は経験豊富な海外企業から知見を得るため、このほど英国やフランスの原子力関連企業と、日本での廃炉に関する協力関係を構築した。日本メーカーは国際的な連携を強め、大量廃炉時代に備える必要がある。
(2015/11/18 05:00)
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