[ オピニオン ]
(2015/12/2 05:00)
石油元売り業界再編の動きが急だ。売上高で2位の出光興産と5位の昭和シェル石油の合併合意に続き、首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油の経営統合話が浮上。国内需要先細りへの危機感の強さを物語った。いずれも事業規模拡大によって強固な収益基盤を築く狙いだ。これを資源小国・日本における石油供給の安定化、サプライチェーン強靱(きょうじん)化につなげてほしい。
石油製品の国内市場は縮小の一途をたどっている。経済産業省によると2015年度の燃料油需要はピーク時の99年度から25%落ち込み、4年後の19年度にはさらに7%余り減る見通し。背景には少子化やエコカー普及に伴うガソリン消費量の減少という構造的要因がある。こうした中でコスモエネルギーホールディングスを含む大手5社が共存共栄を続けるのは難しく、規模拡大や経営合理化・効率化は避けて通れない課題だ。
収益基盤が強くなれば、新興国市場などの開拓や上流権益の獲得に向けて巨額の投資をする体力もつく。特に油田などの権益確保は、石油のほぼ全量を輸入に頼る日本にとって重要な取り組みだ。再編を機に、リスクを伴う投資にも挑戦してもらいたい。
石油製品の安定供給には給油所(SS)の経営基盤強化も不可欠だ。ガソリン需要の減退で経営が成り立たなくなったSSの廃業が相次ぎ、いわゆる「SS過疎地」や高速道路の「SS空白区間」が増えている。SS過疎地ではガソリンだけでなく、暖房用の灯油を買うのにも難儀する。
元売り各社はSS立て直しの努力を惜しんではならない。自動車関係に加えて「見守り」「駆け付け」といった地域密着型サービス、自由化される電力販売事業の窓口業務など、多角化を後押しする経営指南が期待される。時には経営母体の大規模集約化など、痛みを伴う改革を促す必要もあろう。
各社は石油サプライチェーン強靱化の具体的なビジョンをSSや特約店と共有し、SSの経営改善や高度化を主導することで“ガソリン・灯油難民”の根絶に貢献してもらいたい。
(2015/12/2 05:00)
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