[ その他 ]
(2015/12/15 05:00)
日銀が14日に発表した12月調査の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断DIはプラス12と前回9月と同じだった。事前のマイナス予想に比べれば良い結果だが、回復力に欠ける日本経済の現状を裏付けた▼2015年4―9月期の企業業績はおおむね好調。原油価格も下落が続き、景況感改善の環境は整っている。にもかかわらず2、3カ月先の見通しは大企業製造業、非製造業とも悪化を予想している▼「新興国経済をめぐる不透明感の高まりが企業のコンフィデンスを悪化させるリスクを意識しておく必要がある」という黒田東彦日銀総裁の危惧が結果に表れた。加えて、近く予想される米国の利上げへの警戒感も企業の姿勢を慎重にさせているのではないか▼総合的に判断すると、景況感が底を打ったとは言い難い。輸出立国・日本にとって世界経済の不透明感は今後も重石(おもし)となり、景気の足を引っ張ることになるため、その動向を注視していく必要がある▼明るい材料は、民間設備投資が高水準だと確認されたこと。あるいは官民対話での政府の要請が企業の意欲を後押ししたのか。設備投資は成長の原動力だ。政府に左右されずとも、経営者の前向きな姿勢を望みたい。
(2015/12/15 05:00)