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産業春秋/東北放射光計画

(2015/12/16 05:00)

刻々と変化する物質の状況を原子・分子レベルでとらえ、分析・解析に欠かせない放射光施設は「巨大な顕微鏡」とも呼ばれる。国内には「スプリング8」(兵庫県佐用町)はじめ9施設があるが、最も東は茨城県つくば市。東北や北海道は空白地帯だ▼その東北への誘致が進んでいる。その名も「東北放射光計画(SLiT―J)」。東北大学など七つの国立大の研究者らを中心に、3年前から取り組みが始まった。企業の利用を促し、日本の産業技術の高度化につなげる考えだ▼2014年には東北大総長、宮城県知事、東北経済連合会長が共同代表となり推進協議会が発足。国への要望と地域への啓発、将来の利用者発掘に動いている▼計画はエネルギーが30億電子ボルト(3GeV)、周長約340メートルの規模。実現すれば、日本の既存施設にはない軟X線エネルギー領域の高輝度放射光を供給し、例えば軽元素の新たな機能を調べる際などに威力を発揮するという。立地は未定ながら、地元の経済効果も大きい▼14、15の両日には、東北大片平キャンパス(仙台市青葉区)で「新しい東北の創生と産学連携放射光利用」をテーマにした研究会が開かれた。SLiT―J実現の機運が高まることを期待したい。

(2015/12/16 05:00)

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