[ オピニオン ]
(2015/12/16 05:00)
気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が採択した「パリ協定」では、産業革命以前に比べた気温上昇を2度C未満に抑えることが目標となった。さらに努力目標として、1・5度C未満を併記している。
加盟各国は自主的な温室効果ガス削減目標の作成と報告の義務を負う。これによって極端な気候変動を緩和する狙いだが、各国の目標達成には義務がないことから、実効性には疑問が残った。
ただ義務がないからといって温暖化対策の手を抜くことは許されない。COP21の結果にかかわらず、私たちは最低限、2030年度に13年度比で温室効果ガスを26%削減するという日本の目標を達成しなければならない。
特に目標とする削減率が40%近い業務部門と家庭部門は努力が必要だ。両部門は生産活動をしていないので、使用時や廃棄時に温室効果ガスの排出の少ない商品を選ぶことが重要になる。
日本環境協会エコマーク事務局が「エコマーク認定商品による二酸化炭素(CO2)削減効果」を推計した。認定商品のうち32の商品カテゴリーの約2600商品を対象に、醍醐市朗東京大学特任准教授らライフサイクルアセスメント(LCA)の専門家に依頼し、約1年間かけて推計した。
再生材など原材料の変更、原材料の低減、使用電力量の削減の3類型に分け、エコマーク認定の基準値などと比べた1年間分の削減量を推計。それによると、合計約101万トン分のCO2削減効果が算出された。これは約44万人分の家庭の1年分のCO2排出量にあたるという。
購買時には商品のライフサイクルに思いをはせ、CO2排出の少ないものを選ぶことがパリ協定の目標達成につながる。エコ対応製品を使用することでエネルギーコストを削減できれば、財布にもやさしい。産業界も、ライフサイクルでの排出量削減の取り組みを一段と加速したい。
エコマーク以外にも多くの環境ラベルがある。業務部門や家庭部門でも、これらを参考にしてみてはどうだろうか。
(2015/12/16 05:00)