[ オピニオン ]
(2016/1/6 05:00)
4月の電力小売り全面自由化に先立ち、顧客争奪戦の火ぶたが切られた。家庭向けの電力小売り事業に参入する東京ガスや大阪ガスなどが具体的なサービス内容や料金を打ち出し、契約の受け付けを始めた。電気代の低下や利便性の向上につながることが期待される。この機会に、すでに自由化されている大口需要家向けのサービスも、さらに充実してもらいたい。革新的で付加価値が高いサービスの実現を望む。
全面自由化後は、従来の工場や商業施設といった大口需要家に加えて一般家庭や商店、事務所などの小口需要家に対する電力販売事業にも新規事業者が参入できるようになる。電気料金への規制も緩和され、価格やサービス面での競争が始まる。すでに携帯電話やインターネット通信とのセット販売、電力使用量をリアルタイムで可視化して料金を提示するサービスなどを各社が打ち出している。
新しいサービスの中で大口需要家向けの事業に応用できるものがあれば、採り入れていってもらいたい。知恵を絞れば、充実の余地はまだあるだろう。セット販売などの値引きサービスだけでは採算に合わなくなる危険性がある。異業種との連携・協業で今までにない高付加価値型のサービスを創出するといった取り組みを期待したい。例えば「モノのインターネット(IoT)」技術と電力需給データの融合だ。
製造現場を例に挙げると、個々の設備の稼働状況と電力使用状況をIoTできめ細かく把握できれば、電力の需給動向や電力コストの増減といった制約条件も踏まえて生産ラインの動きを最適化できるようになる。理想の省エネルギー型工場を実現できるはずだ。また近隣の工場と協力し、電力使用量を平準化することも可能になる。エネルギーの使用効率を高めるためのビッグデータ活用に、電力各社や新規参入事業者も積極的に関わってほしい。
自由化によって電力事業に対する異業種の関心が高まっている。これは大口需要家向けの事業戦略を練り直し、サービスに磨きをかける好機でもある。
(2016/1/6 05:00)
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