[ その他 ]
(2016/2/19 05:00)
山形県の南西部に位置する飯豊(いいで)町は人口約7000人。北東部は農業が盛んで、丘陵に肉牛の牧場が広がる。南部は飯豊連峰に連なる山岳地帯。美しい自然に囲まれた小さな農山村である▼地域の悩みは、ここでも人口の減少だ。農山村の生活が生んだ景観と文化を守るためには、新たな柱が必要ではないか。その答えの一つとして同町は、リチウムイオン電池の開発研究拠点を誘致した▼町役場が2015年に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中では「自然・文化と最先端科学が融合するまちづくり」を目標に掲げる。タッグを組んだのは山形大学、山形銀行、産業技術総合研究所関西センターなど▼町内に整備を進めていた山形大のリチウムイオン電池の開発・試作評価研究施設は、今年1月に完成した。材料開発から電池システム、試験評価までの一貫生産プラントだ。試作電池の欠点を探り、それを克服するための開発までノンストップで取り組む環境が農村に生まれる▼山形大の蓄電デバイス研究部門は、電池や自動車など40社以上と共同研究を展開する。飯豊町の新拠点は5月にも本格稼働の予定。多くの研究者が美しい自然に魅せられ、優れた成果が生まれることを期待したい。
(2016/2/19 05:00)