[ オピニオン ]
(2016/3/14 05:00)
国内で百貨店や大型スーパーなどが一斉に参加する「大規模セール」構想が浮上してきた。石原伸晃経済財政担当相と経団連の榊原定征会長の会談で俎上(そじょう)に上った。米国では感謝祭(11月の第4木曜日)翌日を「ブラックフライデー」としており、年間でも最も消費が高まるクリスマス商戦の口火を切る。日本でもこうした商機が生まれれば面白い。
経団連では6月に、三越伊勢丹ホールディングス会長の石塚邦雄氏が副会長に就任する。流通業界出身の副会長は、2001年5月まで在任した鈴木敏文氏(イトーヨーカ堂社長=当時)以来、ひさびさだ。これにより政府の求める消費喚起に協力しやすい体制が整う。多くの流通業が足並みをそろえ、全国一斉セールを実施する状況が生まれれば、堅くなっている消費者の財布のひもが緩む可能性も出てくる。
ただ現状では、百貨店などの春秋のセールの開始時期ですら店によってバラバラだ。さらに大手スーパーや商店街まで加えた大規模セールの実施時期調整は、容易でないとみられる。
米国のクリスマス商戦は、日本の一般的なセールと比べて期間や規模がケタ違いに大きい。そもそもクリスマスという行事の持つ重みが違う。日本で長期間にわたる大規模セールを実施する場合、何をテーマにどういった形で展開するのか。国民的な共感が得られなければ”笛吹けど踊らず“で、長続きさせることは難しい。
消費者は賢くなっている。「価値を伴わない商品は安くしても買ってもらえない」(村田紀敏セブン&アイ・ホールディングス社長)という現実もある。
政府や経団連が、大規模セールをどう後押しするかも重要だ。例えばセールに連動した予算を計上し、地域商品券を配るなどの公的支援があれば消費者も購買意欲を刺激されるかもしれない。知恵の絞りどころだ。
経団連だけでなく、流通業や地場の商店街に強い商工会議所、商工会などと連携しつつ、消費が盛り上がって景気にプラスとなるような方策を考えてもらいたい。
(2016/3/14 05:00)
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