[ オピニオン ]
(2016/3/18 05:00)
家庭が排出する一般ゴミの焼却施設整備が転機を迎えている。人口減少やリサイクルの普及に伴って排出量が減少に転じる一方で、自治体の持つ施設の老朽化が進み、設備の延命や広域化・効率化をどう進めるかが課題だ。産業界ではプラント機器メーカーが今後の動きを注視しており、明確な方向が示されることが望ましい。
家庭のゴミの総量は、2000年の5483万トンをピークに13年には4487万トンまで減少した。リサイクル意識とゴミの容量圧縮の必要性が広く認知されたためだ。総人口の減少もあり、この傾向は今後も続くとみられる。
一方、全国の自治体がゴミを処理する焼却施設数も、1994年の1887カ所から2013年には1172カ所に減った。この背景には、焼却処理時に発生するダイオキシン類の抑制策として国が広域化を推進したことがある。
ダイオキシン問題で施設整備が比較的、短い期間に集中して進んだことに加え、近年の自治体の財政難によって施設の老朽化が問題になりつつある。環境省の調査では半数近い496カ所が稼働から20年を超過し、40年を超す老朽施設も6カ所を数える。
実際には多くの自治体が、国の交付金に依存しなければ設備を更新できない。老朽施設の延命か、さらなる広域統合で効率化するのか。総務省行政評価局は環境省に対し、施設の長寿命化のためのデータを蓄積して的確な指針を示すように勧告した。
ゴミ焼却施設を納めるプラントメーカーからみると、成熟化した国内市場では新規案件の受注は難しい。ただ市場として魅力がないわけではない。施設完成後の運営管理までを一括して請け負う「DBO方式」により、新たな安定収益源となっている。
他方、日本の優秀なゴミ処理技術を海外に展開することが期待される。ただ国内には依然として小規模施設が多く、新興国などから求められる安価な大型プラントの実績が不足しているという指摘もある。政府はこうした点も考慮し、ゴミ焼却施設の今後のあり方をまとめてほしい。
(2016/3/18 05:00)
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