[ オピニオン ]

社説/社員のメンタルヘルス−「こころ」も診られる産業医を

(2016/3/21 05:00)

厚生労働省の2013年の調査では、過去1年間にうつなどのメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は10%で、前年の8・1%より上昇した。小規模企業が全体の比率を引き下げているが、例えば1000人以上の事業所だと9割近くに達する。

うつ病の患者数も00年以降、大幅に増加している。同省は労働安全衛生法の一部を改正して企業にストレスチェックを義務付けた。50人以上の事業所では15年12月から毎年1回、医師や保健師による検査の実施が必要になった。ストレスが高い場合は医師の面接を受けて助言してもらうなど、メンタルヘルス不調を未然に防止する仕組みだ。

産業医のあり方も変わりつつある。会員制医療総合サービスのメディカル・サーバント(東京都港区)は「主治医型産業医」という新ビジネスに着手した。同社は大学病院と提携して24時間の健康管理サポートを提供している。「500人ほどの会員には経営者が多く、従業員に関する相談もかなり多い」(山中孝市代表)ことからの発想という。

産業医を司令塔と位置付け、その周囲に複数の総合内科医と心療内科医、カウンセラーをチームとして配置した。メンタルヘルスではストレスチェックの実施から面談、カウンセリングまでチームでこなす一貫体制を整えた。「主治医型」には”顔が見える“という思いを込めたそうだ。従業員1000人以上の企業は産業医が専従のため、50−200人規模の企業が主要顧客になるとみている。

医療は細分化が進んでいる。特定の産業医がメンタルヘルスを含むすべてをカバーするのは難しい。企業も悩んでいるケースが多いだろう。

グローバル化が進む中で、ビジネスの世界は厳しさを増している。最前線にいるビジネスマンは神経をすり減らす場面が多くなっている。企業にとって、大事な戦力がダウンしてしまっては損失だ。産業医とともに「からだ」だけでなく「こころ」も診る必要性が高まっている。

(2016/3/21 05:00)

総合3のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン