[ オピニオン ]
(2016/3/30 05:00)
4月1日から関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港の民間による運営がスタートする。オリックスと、フランスのヴァンシ・エアポート連合が、昨年の入札で両空港の運営権を取得した。実施主体となる新会社「関西エアポート」には関西の主要企業30社も出資する。わが国初の空港の民間運営モデルは、同時に関西経済浮揚のけん引役としても期待がかかる。
関西エアポートが持つ運営権は2016年度から59年度までの44年間。約2兆2000億円という巨額投資で運営権を取得しただけに、採算をとるためには長期的な収益力の向上が課題となる。
幸い訪日外国人の増加もあり、関空の就航便数は伸びている。特に格安航空会社(LCC)専用の第2ターミナルを整備したことが大きな効果を上げた。さらにLCC国際線専用の第3ターミナルも17年3月に完成予定。関空、伊丹両空港のハードを生かし、一体運営による効率化と合わせて利益を生み出さなければならない。
利用客増と商業施設の活性化も課題だ。オリックスのノウハウを生かし、集客力の高いテナント、関西の特色ある店舗を誘致する計画。ヒトの流入が関西全体に経済効果をもたらすことは、最近の訪日客数増が証明している。
モノの動きを活発にすることも空港の重要な任務。24時間離着陸が可能な関空の特色を生かし、物流拠点としての機能充実を図ってもらいたい。関空を通じた貿易額は輸出が3年連続、輸入が6年連続で前年を上回るなど、こちらも右肩上がりで伸びている。
早く運べるが、輸送費は高いというのが航空便の特徴。医薬品や半導体等電子部品などの高付加価値品が航空便利用の代表格だ。製造業が伸び悩んでいるとされる関西の産業界でも、これらの分野の関連企業は少なくない。潜在客としてのポテンシャルはある。
地元の出資企業は同時に、関空の利用客だ。その声をスピーディーに空港機能に反映することもできるだろう。民間の知恵を結集した空港運営でヒト、モノ、カネの流れを生み出し、初の民間委託を成功させたい。
(2016/3/30 05:00)