[ オピニオン ]
(2016/4/1 05:00)
景気の停滞感が漂う中で2016年度が幕を開けた。中国経済の減速や原油安による資源国経済の低迷を受けて、世界経済の先行き不透明感が拭えない。こうした影響による円高・株安が企業と家計への重しとなり、景気は踊り場を脱せずにいる。新年度の景気も楽観できない展開が予想される。
16年度の景気動向を左右するのは何と言っても17年4月に予定される消費税10%への引き上げ。消費増税が予定どおり実施されることになれば、16年度後半にかけて駆け込み需要が発生して景気が上向き、成長率が底上げされる。しかし再び先送りとなれば、駆け込み需要は期待できず、マイナス成長に終わることもあり得る。
この先も夏場にかけて海外要因は景気にマイナスに働くものとみられる。ただ国内要因をみると、企業収益は依然として高水準にあるうえ、雇用・所得環境は良好なため、景気回復の余地がないわけではない。このため世界経済が緩やかな持ち直しに転じ、企業の設備投資などが活発化すれば、景気が回復に転じる可能性は大きい。
1日に発表される3月調査の日銀短観は厳しい景気の現状を物語るものになりそう。民間シンクタンクの事前予想は企業規模や業種を問わず景況感が悪化するという見方が支配的。予想どおりの結果となった場合、追加緩和を促すことになり、4月の追加緩和が現実味を帯びる。
また政府は景気対策として、29日に成立した16年度予算の早期執行を目指す。加えて、さらなる景気刺激に向けて緊急経済対策を実施する構え。このため大型連休前には取りまとめる方向で検討を急ぐ方針だ。
本紙が先ごろ実施した景気定点観測調査によると、73%の企業が16年度上期の景気を「横ばい」とみている。業績に影響を与える要因は中国経済、為替動向、米国経済がベストスリー。景気回復へのカギとしては成長維持のための機動的な政策の実施を求める声が多かった。16年度の景気を左右するのは、引き続き成長戦略の推進であることは明らかだ。
(2016/4/1 05:00)
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