[ オピニオン ]
(2016/4/4 05:00)
4月からの電力の全面自由化で、大手電力会社を含む電気の小売り事業者が消費者から選ばれる時代になった。激しい競争の中から新たな価値が創造され、利便性向上や経済活性化につながることを期待したい。
1985年の日本電信電話公社(電電公社)民営化に始まる通信自由化では、競争原理の導入で通話料が下がり、サービスの多様化も進んで「IT革命」の素地ができた。電力でも類似の効果が期待できる。電気料金が下がれば家計の負担が減り、消費が刺激される。また異分野の技術やベンチャー企業ならではのアイデアを生かすことで、革新的なサービスが生まれる可能性がある。
地方活性化の効果も見込める。今のところ小売りへの新規参入は需要が多い大都市圏に集中し、地方での競争は進んでいない。だが今後、スマートメーター(通信機能付き電力量計)の導入が進めば、電気の使い具合によって遠隔地の肉親らの安否を確認する見守りサービスなどの需要が地方部を含めて顕在化してこよう。
さらにHEMS(家庭用エネルギー管理システム)の普及は消費者の行動に基づくマーケティングや販売促進につながる。こうしたビッグデータ・ビジネスも各地で芽吹くに違いない。関係各社は”岩盤規制“に囲われてきた家庭向け電力市場の開放を新市場創出の好機ととらえ、斬新(ざんしん)な発想で新たな価値創造に挑んでもらいたい。
ただし、忘れてはならないことがある。電気の小売り事業者の最も重要な使命は、電力の安定供給だ。
電力は品切れが許されない。需給を常に一致させてバランスを保たないと、大規模停電に陥る危険がある。全面自由化以降も、新規参入事業者が需要に見合う電力を供給できない場合には既存の大手電力会社が不足を補うことになる。ただ新規参入組もこれに寄りかからず、自らの使命の重要性を自覚しなければならない。電力の安定供給と価値創造の双方が成り立つ事業モデルこそが、自由化の真の狙いである。
(2016/4/4 05:00)
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