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【熊本・大分地震】車・電機、正常化へ全力−「東日本」の教訓生かせ

(2016/4/18 05:00)

  • 熊本市内の金属加工会社

突然の地震に襲われた熊本県では、集積する自動車、電機関連企業を中心に事業活動の正常化に向けて全力で取り組んでいる。東日本大震災などの教訓を生かせるか、各社にとっても正念場だ。

【余震警戒】

三菱電機は熊本県内にパワー半導体を手がける工場(熊本県合志市)と、TFT(薄膜トランジスタ)液晶モジュールを手がける工場(同菊池市)を抱える。どちらも生産を止め余震の影響などを注視している。パワー半導体は主にハイブリッド車のモーター制御や、民生用のインバータエアコン、産業用工作機械、鉄道向け。また液晶モジュールも工作機械や建設機械などの産業機器や、カーナビゲーションシステムなどの車載機器向けに使われる。供給が滞れば、影響が出てきそうだ。

アイシン精機グループでは、ドアフレームなどの自動車部品や液晶・半導体製造装置を生産するアイシン九州(熊本市南区)とエンジン部品を生産するアイシン九州キャスティング(同)の合計2工場が15日、16日に続き、18日も停止を決定した。

ホンダの2輪生産拠点、熊本製作所(熊本県大津町)は18日の操業停止を決めた。被害状況は確認中。ホンダは円安を受けて2輪生産の国内回帰を進めていた。昨年には原付きスクーター「ジョルノ」の生産を中国から、16年にスクーター「タクト」「ダンク」の生産をベトナムから移管。年産能力を16万台から25万台へと増産体制を敷いていた。操業停止が長引けばこの勢いに水を差しかねない。

【交通網寸断】

周辺地域には部材のサプライヤーも多く、交通網寸断で調達が困難になる事態も想定される。ホンダに2輪用部品を納める九州ショーワ(熊本県宇城市)は焼結部品を生産しており15日から操業を停止。18日も操業しない。人的被害はなかったが生産設備に影響があった模様で、「どれくらいの被害か調査中で結果が判明次第対策を検討する」(同社)。

エフ・シー・シーの子会社である九州エフ・シー・シー(熊本県宇城市)もクラッチなど一部製品の15日の生産を休止した。工場の建物や設備に大きな被害はなかったが、設備のズレなどを確認、調整するため。操業再開は「供給先と(同社に部品を供給する)サプライヤーの状況を見て判断する」(総務部)という。

【BCP対策】

産業界では東日本大震災を機に他の拠点への生産振り替えや、在庫を多めに持つなどの事業継続計画(BCP)対策を進めてきた。具体的影響は各社が調査中だが、これらの対策が生かされることを期待したい。

(2016/4/18 05:00)

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