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[ 環境・エネルギー ]
(2016/4/20 05:00)
一連の地震で大きな被害が出ている熊本県に、大手電力・ガス各社が応援要員を続々と送り込んでいる。九州電力を除く電力9社は移動式電源を積んだ高圧発電機車や高所作業車を、19日午前までに計157台派遣。作業要員も計500人近く送り込み、停電が続く地域への電力供給や復旧作業の支援に取り組んでいる。都市ガス各社も総勢約1800人の作業要員を順次派遣し、ガスの供給再開に総力を挙げている。
【電力・ガス】
電力9社が派遣した車両のうち発電機車90台は、主に熊本市や益城町、阿蘇市などに配備されて避難所や医療機関、公共施設、一般家庭への電力供給を始めた。九電の応援要請に応えたもので、必要に応じて人員ともども追加投入する方針だ。
熊本県内では最大震度6強の揺れを観測した16日未明の地震で一時、熊本市などを中心に19万戸余りが停電になった。だが徐々に復旧や発電機車による電力供給が進み、19日14時の時点で停電は、大規模な土砂崩れで送電線が使えなくなった阿蘇地区の約1万1800戸を残すだけとなった。九電は20日の解消を目指している。
都市ガス業界では日本ガス協会が災害対策本部を設置し、供給が止まっている西部ガスの営業管内に、大手各社から計1800人の応援要員を派遣することを決めた。うち1000人ほどを東京ガスが出すほか、ガス漏れの検査や破損箇所の修繕に使う作業車両も約500台送り込む。地域のガス導管や各家庭に引き込んだガス管・ガス器具の安全を確認して供給を再開する。
ガソリンなどの供給では経済産業省・資源エネルギー庁が石油備蓄法に基づく「災害時石油供給連携計画」の実施を勧告したのを受け、石油連盟が石油製品供給の共同オペレーションを始めた。被災地から地元の地方自治体を通じて寄せられる緊急支援要請に、石油業界各社が協力して対応を進めている。
【日用品】衛生用品など被災地に
災害時における必要物資は、地震発生後の時間の経過とともに需要が変化する。災害初期は水や食料などの迅速な物資調達が求められるが、次に優先されるものの一つが衛生や排せつに対応した生活必需品。花王は熊本地震を受け社内に「対策本部」を設置し、被災地に生活用品の供給を始めた。日用品各社は熊本県と連絡を取り合い、衛生用品などの緊急支援物資を被災地に届けている。
花王は自社の販売会社を持つため「現地のニーズを吸い上げるスピードが速い」(同社)という。地方から集まる情報を基に対策本部が指揮を執り、子ども用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用品、殺菌成分を配合したハンドソープなどの生活用品を被災地に届けている。
同社は行政と相談しながら、状況に応じて段階的な支援を行う方針。「(避難所の集団生活による衛生環境低下で)漂白剤の『ハイター』や、水道が復旧し入浴できる状況になればシャンプーなどの支援」(同社)を想定している。
2011年の東日本大震災時は、避難所から仮設住宅に移った人向けに「生活キット」も届けた。
19日には、ユニ・チャームが子供用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用品を届けたと発表した。ライオンは17日に水が不要の消毒液、除菌ウエットシート、歯磨き、歯ブラシの生活用品を熊本県益城町役場に届けた。
災害発生後は、衛生環境不良や避難所での集団生活の疲れから免疫力が低下し、感冒やインフルエンザなどの感染症を発症する恐れがあるが、除菌などは有効な対策。衛生用品や紙おむつは生活必需品であり、“消耗品”だ。必要品目の需要と数量を的確に把握し、速やかな対応が求められている。
(2016/4/20 05:00)