[ オピニオン ]
(2016/4/29 05:00)
昨年末の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、世界共通の目標として平均気温の上昇を2度C未満に抑えるという「パリ協定」が合意された。すべての国が温室効果ガス排出削減目標をつくり、今世紀後半には人間活動による排出の実質ゼロを目指す。
国内では2014年の省エネルギー法改正で、従来の工場のエネルギー消費原単位(単位量の製品を生産するのに必要なエネルギー消費量)に加えて電気需要平準化評価原単位を設けている。年平均1%以上低減させることが目標だ。平準化評価原単位は、ピーク時の電気使用を考慮した指標である。
多くの工場では生産性については精密に計測し、工夫を凝らしている。一方でエネルギーに関しては工場単位で、進んだ工場でも生産ライン単位で電気消費量を把握するくらいだった。だが今後は単なる電気消費量の把握だけでなく、電気を含めたエネルギー消費の厳密な管理が求められるようになった。
これまで生産性に特化した模擬実験を手がけていた東京理科大学理工学部の日比野浩典准教授らは、エネルギー消費を加味した機械工場のシミュレーションシステムを開発した。設備1台ずつの加工や段取り、待機といった状態に応じてエネルギー消費を模擬し、工場の設計や機械導入時に機械ごとのエネルギー原単位が予測できるという。
「ある工場の実測値とシミュレーション結果を比べると、ほとんど同じ数字だった」(日比野准教授)そうだ。現在は工作機械やロボット、ハンダリフローなどが対象で「一般的な機械工場ではかなりの数の設備をカバーしているが、今後、成型機や空気圧縮機なども加えていく」(同)という。
エネルギー原単位を下げることは気候変動を抑制するだけではなく、コスト低減にもつながる。模擬実験に限らず、IoT(モノのインターネット)技術などを利用して即時にエネルギー消費を把握することも可能だろう。企業はさまざまな工夫で、エネルギーの管理を強めてほしい。
(2016/4/29 05:00)
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