[ オピニオン ]
(2016/5/11 05:00)
仕事で福島県会津若松市を訪ねた。2013年のNHKの大河ドラマ『八重の桜』のポスターを、いまだに駅やホテルで見かける。会津人の情の深さだろうか▼出張の楽しみの一つは地方色豊かな食事だ。事前に調べたところでは会津若松名物は地酒や漬物、そば、「こづゆ」などの郷土料理。なんとか時間をひねり出して食してみようと考えていた▼ところが現地で教えられた最近売り出し中の名物は「ソースカツ丼」。全国的には卵とじが主流だが、一部地域には異なる伝統がある。会津でカツ丼と言えばカツをのせ、ソースをかけた丼のこと。大正時代から地域の人に愛されてきたとか▼最近では地元飲食店が組織する「伝統会津ソースカツ丼の会」や、プロの作曲家による「伝統会津ソースカツ丼のうた」など相当な熱の入れよう。さらに馬肉カツも登場し、伝統の中にも革新の息吹を感じる▼山梨や福井でもソースカツ丼が好まれるが、さて会津はどう違うのか。そんなことを考えながら取材をはじめたものの、結局は時間が押して、教えてもらった店に行く余裕はなし。泣く泣く帰京した。記者のイロハである事前の下調べが足りなかったことを反省しつつ、次の機会にはぜひ挑戦したい。
(2016/5/11 05:00)