[ トピックス ]
(2016/5/12 05:00)
【熊本】熊本県では今も余震が続く中、少しずつ復旧が進んでいる。国や県も復旧に必要な支援制度を打ち出した。ただ中小・零細企業からは、支援制度を活用する知識や人の余裕がないという悲鳴も聞こえる。自動車や電機メーカーの多くは全面復旧にめどをつけているが、社員数に限りがある中堅・中小企業は、まだ多くの課題が残る。
◇ ◇
「一番の課題は資金面と人材の確保」。金森秀一熊本県工業連合会副会長(オジックテクノロジーズ社長)はこう強調する。その上で、助成金など支援制度の申請の簡略化が必要だと指摘する。
オジックテクノロジーズ(熊本市西区)は熊本地震発生から10日後の4月25日、合志事業所(熊本県合志市)の自動車部品メッキ加工ラインを再開した。早期に再開できたのはアイシン九州(熊本市南区)の人的支援があったため。「(納入先である)自動車メーカーと半導体メーカーからの技術者が設備の修理や点検をしてくれた」(与田英雄開発営業室室長)という。
ただ、人手不足から復旧が思うように進まない中小企業は多い。
熊本県工業連合会(熊本市東区)は9日、緊急理事会を開いた。理事会では設備復旧や雇用など課題が山積みで、人手が必要という現場の声が多く出た。人手に余裕がある企業が他社を支援するという提案もあった。
同連合会は県が用意した国や県の支援メニューを会員企業約280社に向けてメール配信した。また、県の担当者との相談用ホットラインを開設。担当者や専門家を企業に派遣して、手続きのサポートも始めた。
熊本商工会議所は4月15日、土日祝日を含めて対応する特別相談窓口を設けた。5月9日からは九州各地の商工会議所が派遣した5人の経営指導員も加わり、事業再開や資金繰り、支援制度などに関する相談に応じる。
窓口開設後、電話と面談による相談件数は340件超。これは相手を把握して相談内容を記録した件数で、匿名の電話による簡単な問い合わせを含めるとその2倍ほどになるという。高山晴司熊本商工会議所経営支援部長は「潜在的な人材不足と言える」と、支援制度を知っていても申請まで手が回らない状況を指摘する。
(2016/5/12 05:00)