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[ エレクトロニクス ]
(2016/6/24 05:00)
東芝は2018年度末までに自己資本比率を10%以上(15年度末6・1%)へ引き上げる目標を明らかにした。原子力発電所などのエネルギー、ビルシステムなどの社会インフラ、半導体メモリーを主力とするストレージの3分野に集中し収益を確保。事業拡大と経営効率化を進め、自助努力で達成を目指す。
東芝は一時期の債務超過リスクを、医療機器事業などの売却で回避した。ただ15年度末の自己資本比率は6・1%と低いままだ。
18年度末の10%以上に向け「経営計画を着実に実行して自己資本を増やす」(綱川智社長)。併せて在庫削減などで総資産を圧縮する。綱川社長は「3年間でやりきるのに無理な数字ではない」と説明した。
15年度の総資産は、約5兆4000億円。自己資本は15年度末の約3300億円から、16年度中に4000億円に増加する見通しだ。
同社は不適切会計問題を受け、東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されており、資金調達の手段が限られている。「16年度の資本市場への復帰(指定解除)を目指す」(同)が、その後の増資などについては「いろいろオプションはあるが、何も決まっていない」(同)と述べるにとどめた。
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東芝の綱川智社長は23日に本社で日刊工業新聞などとのインタビューに応じ、2016年度を事業再生の年に位置付ける考えを示した。構造改革に加え、注力するエネルギー、社会インフラ、半導体メモリーの3分野で成長を目指す。
綱川社長は「顧客や市場からの信頼回復は(登山の)2合目ぐらい」とし、「誠実な経営」を基本方針に掲げた。
エネルギー分野では中核の原子力発電設備事業で30年度までに計45基を受注する計画。「世界で300基の新設需要があると言われる中、45基はシェア15%。背伸びした目標ではない」と自信を示した。一方で「足元では(燃料供給や保守などの)サービス事業を展開し、安定成長できるようにする」と話した。
NAND型フラッシュメモリー事業については「世界シェア2位の競争力に加え、全体の市場成長も期待でき、売上高を伸ばせる」と指摘。15年度の構造改革の過程では同事業の分社化も検討に挙がったが「あらゆる検討が必要ではあるが、今、具体的なことは何もない」と説明した。
一時、売却を検討したパソコン事業は「(法人市場へのシフトなど)改革はやり切ったので、自力で黒字化を目指す」とした。
(2016/6/24 05:00)