[ ICT ]
(2016/6/29 05:00)
KDDIはVR(仮想現実)の普及を目指し、消費者が実際に体験できる機会を拡充する。安価なVRビューワー「ハコスコ」を今夏から電子商取引(EC)サイトで販売するほか、VRコンテンツも配信する予定。全国の直営店ではVR体験会の開催も検討している。同社はVR空間が次世代の情報伝達手段になるとしてコンテンツ開発などに注力する。体験の場の拡大によりVRへの認知や期待を高め、次世代情報通信網を求める機運を盛り上げたいところだ。
「ハコスコ」はスマートフォンと連携して使うとVR体験ができる製品で、価格は千数百円程度と安いのが特徴。KDDIは5月に「ハコスコ」を手がけるハコスコ(東京都渋谷区)に出資したばかり。今夏から「ハコスコ」をECサイト「au WALLET Market」で販売し、auショップでの展示、販売も検討する。
KDDIでは独自のVRコンテンツも配信する予定だ。同社のスマホ用音楽配信アプリなどとの連携を検討しており、歌手のライブをVRで体感できるコンテンツなどが想定される。VRを安価に体験できるツールの普及を後押しし、VRの認知度を高める。最新端末を活用したVR体験の提供も重視し、すでに都内の直営店で体験会を開催。さらに他地域の直営店での開催も検討している。
VR空間を活用した次世代情報伝達は電話やメールに比べ感情や雰囲気が伝えやすくなるのが利点だ。例えば機器操作の顧客サポートでVR空間を活用する場合、空間内で利用者に寄り添う形で教えられるため、電話などに比べて円滑なコミュニケーションが実現できると期待される。またVR空間で店員と話しながら買い物をするといった利用も想定されている。
VRによる次世代情報伝達の実現には、大容量かつ超低遅延な通信網と、消費者がVR利用を求める土壌が必要になる。
通信網は2020年の実現を目指す次世代通信規格「5G」の活用が見込まれる一方、VR空間の体験の場を広げ、消費者ニーズを盛り上げることで、認知度や期待の向上にも注力する。
(2016/6/29 05:00)