[ 機械 ]

第46回機械工業デザイン賞(10)日本ロボット工業会賞−川崎重工業

(2016/8/19 05:00)

  • ロボット「デュアロ」と長谷川FA・クリーン総括部長

【双腕スカラロボット duAro(デュアロ)】

曲面形状で“人と共存”

近未来を想起させる滑らかな曲線と、水色がアクセントの爽やかな配色―。2015年6月、川崎重工業は他に類を見ない外観の双腕型水平多関節(スカラ)ロボット「デュアロ」を発表し、世を驚かせた。構造も双腕型のスカラロボという前代未聞の代物だ。新機軸のロボットが完成するまでには、さまざまな試行錯誤があった。

「今までの当社のロボットとは全く異なる製品。コンセプトの段階から違っていた」。長谷川省吾ロボットビジネスセンターFA・クリーン総括部長は、デュアロの開発をこう振り返る。ロボットの開発では初めて外部のデザイナーと全面的に協力。「従来、ロゴなど一部を外部デザイナーに依頼することはあったが、今回は開発の初期から関わってもらった」(長谷川総括部長)という。

デュアロは、安全柵で囲わずに稼働できる川重にとって初の“人と共存するロボット”。電気電子分野など未開拓領域を攻略する役割を担う。同社は新たなイメージを打ち出すべく、外部デザイナーとの全面協業に踏み切った。

「最初はあまりに奇抜なデザインが提示されて驚いた」と長谷川総括部長はほほ笑む。コスト目標や必要な機能・性能について綿密にすり合わせることで、徐々に完成形に近づけていった。

工場内で働く人と共存させるため、重視したのが親和性だ。「従来の産業用ロボットのような、“いかにも機械”といった外観は避けたかった」(同)という。このため、アームなど目立つ部位には曲面形状を積極的に採用。「滑らかな形状の採用は次世代ロボットらしさを表現することも狙い」と長谷川総括部長は付け加える。

このほか、色使いにもこだわった。当初は黒が主体だったが、「黒だと圧迫感が出てしまう」(同)ため白ベースに変更。アクセントとして一部を水色にし、やわらかいイメージを強調した。「親しみやすいデザインにできたと思う」と長谷川総括部長は胸を張る。(藤崎竜介)

(2016/8/19 05:00)

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