[ オピニオン ]
(2016/8/25 05:00)
残暑が厳しい。関東以西に比べて涼しく思われがちな東北地方でも、気温を見る限りでは他の地域とそう変わらない。まだしばらくの間、日中のクーラーは必需品だ。
しかし東北地方が最も熱気を帯びるのは、やはり夏祭りの時期だろう。よく知られるのは青森「ねぶた祭」、秋田「竿燈まつり」、仙台「七夕まつり」という“三大祭り”。いずれも8月初旬に開かれ、北から南へと観光ツアーが祭りを追いかける。今年も例年に劣らぬ多くの人出でにぎわった。
東日本大震災以降、東北にとっての祭りは復興に向けた人々の祈りでもある。震災から3カ月後、東北6県の代表的な夏祭りを集めた「東北六魂祭」が生まれた。三大祭りのほか盛岡「さんさ踊り」、山形「花笠まつり」、福島「わらじまつり」が名を連ねる。
仙台で始まった東北六魂祭は、震災から5年目の今年、青森で6県での開催を一巡した。主催者は来年以降も継続開催する意向を表明している。復興はまだ道半ばである。
間もなく9月。朝晩に吹く風が涼気を帯び始めれば、9月18日の山形市の「日本一の芋煮会フェスティバル」や各地の菊祭りなど、秋祭りのシーズンに入る。東北の祈りは、季節を越えてこれからも続く。
(2016/8/25 05:00)