[ 自動車・輸送機 ]

ホンダ、「NSX」を復活−国内ブランド最高額の2370万円(動画あり)

(2016/8/26 05:00)

  • 新型「NSX」の前に立つ八郷社長

ホンダは25日、新型スーパースポーツカー「NSX」の国内での受注を開始した。2005年の生産終了以来およそ11年ぶりの国内投入で、ハイブリッドシステムを採用した。税込み価格は2370万円からと、国内メーカーが発売するモデルでは、限定車種を除いて最高価格となる。超高級車の投入でブランド力の向上につなげたい考え。

同日都内で開いた発表会で八郷隆弘社長は「走りをどう極めるか。という問いに対するホンダなりの一つの提案だ」と自信をみせた。

ミッドシップに配置した排気量3・5リットルのV型6気筒ツインターボエンジンに、三つの電動モーターを組み合わせたハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド SH―AWD」を搭載し、運動性能を高めた。骨格部品には、高い剛性を持つ複数の素材を組み合わせたスペースフレームを開発して採用。軽い上に高い衝突安全性を実現した。

生産は先代の国産に代わり、米オハイオ州の専用工場が担う。熟練技術者約100人がボディーの製造から最終組み立てまで、最新の溶接ロボットなどを駆使しながら手がける。販売はホンダから「NSXパフォーマンスディーラー」の認定を受けたホンダカーズ店(全国42都道府県の127拠点)が展開する。納車は17年2月27日からで年販100台を見込む。

【解説/“ブランド力”上がるか】

「収益面で苦しいところはあるが“両輪”をしっかりやることでブランド力を上げる」。八郷社長は発表会でこう話した。両輪とは「生活に役立つ」車と「操る喜びを提供する」車だという。前者は軽自動車「Nシリーズ」や小型車「フィット」などの比較的安価な量販車のことで、後者がNSXに該当する。

NSXは高価な部品を採用したり、専用工場を建てて熟練技術者が手作りしたりして、走りや品質を追求した「ぜいたくな一品」(八郷社長)だ。日本での年販見通しは100台、先行発売した最大市場の北米でも初年度800台のみ。高い価格設定とはいえ、これだけのコストのかけ方と販売規模を考えると採算性は度外視していると言えよう。

そこまでして発売にこぎ着けたのは「高級車プロジェクトや商品の存在はエンジニアを中心に社内でモチベーション向上につながる」(他メーカー関係者)ことがある。「NSXのような車を作った面白い会社というイメージが広がれば、普通の小型車の販売にも好影響がある」(ホンダ国内担当の寺谷公良執行役員)との期待もある。特に日本市場では2年前に発生した主力車での相次ぐリコールで「ブランドが毀損した」(ホンダ幹部)との危機感もあった。少量販売ではあるが、“両輪”を回してブランド力を上げたいホンダとしてはNSXにかける期待は大きい。 (編集委員・池田勝敏)

(2016/8/26 05:00)

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