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[ 科学技術・大学 ]
(2016/10/6 05:00)
東京海洋大学海洋科学部の佐々木剛准教授と発明家の杉本幹生氏は、使い捨てカイロを再利用し、有機汚泥(ヘドロ)を分解してにおいを減らす「鉄炭(てったん)団子」を使った地域連携を始めた。夜間照明に使う発電機能や、地元・芝浦原産の「シバエビ」復活も盛り込んだ循環型社会の環境教育を、東京都港区の中学校などで実施する。においが問題になっている目黒区の目黒川の水質浄化プロジェクトもスタートした。
鉄炭団子は使用期限切れの使い捨てカイロを活用し、鉄と炭を圧着させ団子状にしたもので、2013年に特許が成立している。水に入れると鉄と炭のイオン化傾向の差で鉄イオンが溶出する。酸素が少なく有害微生物が繁殖するヘドロでは、鉄イオンが、においの要因となる硫化水素と結合し、硫化鉄に変わり沈殿・除去される。
また鉄イオンと溶存酸素でコロイド水酸化鉄になり、ヘドロを酸化分解する。この時の酸素供給効果で微生物の種類が変わり、水質浄化が進んで藻や水生植物が繁殖する仕組みだ。
屋外実験では硫化水素濃度が3カ月で10ppm(100万分の1)から0になり、ヘドロがほぼなくなった。さらに両氏は鉄イオンの溶出で電子が炭素に移動、電池の機能を発揮する「鉄炭ヘドロ電池」も開発。電圧0・3ボルトを実現した。
これらは総合的な環境教育の教材になるとして、16―18年度で中学校向けのプロジェクトに取り組む。鉄炭団子の設置で変わる生物・水質の調査、発電効率を上げる鉄・炭の圧着方法の工夫、シバエビ養殖試験などを実施する。
(2016/10/6 05:00)
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