[ オピニオン ]
(2016/11/7 05:00)
臨時国会での石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法の改正案の審議が進んでいる。海外資源会社との資本提携や買収などを支援するのが目的だ。わが国の資源確保や将来の価格急騰リスクを回避できるよう、会期末までの可決・成立を期してもらいたい。
世界の資源開発投資は、原油価格低迷のあおりを受けて2年連続で縮小した。ただ新興国の人口増や経済成長を考えると、将来のエネルギー需要の増大は確実だ。需給バランスが悪化し、資源価格が跳ね上がる恐れは大きい。
日本は2030年に石油・天然ガスの自主開発比率を40%(15年度27・2%)とする目標を掲げている。石油権益の価格が低下し、産油国国営企業の株式開放の動きが顕在化する今こそ上流投資を積極化するチャンスである。
有望案件は多い。サウジアラビアではサウジアラムコが新規株式公開を計画し、ロシアでは政府が保有するロスネフチ株の売却を検討。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは60億―80億ドル規模の資産売却を予定している。株価が大きく下落した米国のシェールガス企業もある。
中国やインドの国営石油会社はすでに動き出し、アフリカやロシアなどの優良資産、資源会社に大型投資している。これに対して国際石油開発帝石や三菱商事、三井物産など、上流開発に投資している我が国の主要企業の財務基盤は盤石ではなく、競争に遅れる危険がある。
政府は今回の法改正を含めてJOGMECの機能を強化し、民間企業では実施困難な産油国国営石油会社の株式取得などを後押しする考え。政府保証付きの借り入れによる出資も可能にする方針だ。
5月に開催した主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、参加各国がエネルギー安全保障の確保が国際社会にとって引き続き喫緊の課題であるとの認識を共有し、上流開発の促進を打ち出した。日本がこの方向にかじを切る上でもJOGMEC法改正は欠かせない。早期の可決・成立が望まれる。
(2016/11/7 05:00)
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