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[ エレクトロニクス ]
(2016/11/11 05:00)
ジャパンディスプレイ(JDI)が液晶ディスプレーの技術進化を成長の軸に据える方針を打ち出した。低消費電力や薄型、低コストといった強みに加え、2019年にはフレキシブル性能を実現。需要が高まる有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)から流れを引き戻す構えだ。「成長の余地は確実にある」と断言する有賀修二社長兼最高執行責任者(COO)に、液晶ディスプレーの勝算や今後の展望を聞いた。
◇ ◇
―液晶重視を決めた1番の理由は。
「樹脂フィルムを使ったシート型ベンダブル(曲げられる)液晶を形にできたことにある。『これからのディスプレーは有機ELだ』との風潮を受け、年明けごろから液晶の強みと弱みを検証し、曲げられない点が唯一の弱点だと認識した。特に課題だったのがバックライトの対応だったことから、サプライヤーと開発を進め、技術の確立にめどを付けた。夏ごろにはシート型液晶を形にした」
―具体的なロードマップは。
「17年に4辺を狭額縁化し異形状にも対応する液晶パネルを投入するほか、18年には低消費電力でベンダブルタイプのシート型液晶を投入する。19年にはフレキシブルにも対応したい。ただ顧客からの要請に備え、有機ELパネルも開発し、液晶と両にらみで進める」
―シート型液晶パネルの量産に向けた体制をどう構築しますか。
「サプライヤーの間でも有機ELに置き換わることに危機感が高まっている。基板となるフィルムから偏光板、薄いフィルムを貼り合わせるモジュール工程など、日本の製造装置メーカーと組んでサプライチェーンを構築したい。フレキシブル有機ELパネル向けの製造装置は、シート型液晶パネルにも応用できる。異業種連携も進めて仲間を増やしたい」
―量産拠点や投資に向けた資金計画を教えてください。
「どこで量産するかはこれから検討する。投資も必要だが、有機ELの蒸着装置に比べれば(液晶投資への)額は10分の1だ。自力投資は不可能ではない」
―勝算はありますか。
「フレキシブル有機ELに比べて、シート型液晶は消費電力とコストを半減できる。同程度の厚さも可能だ。曲げられなかった弱点を解決できた今、勝算は十分にある。まずは量産を第1の目標に掲げ、課題解決を加速する」
―フレキシブル液晶陣営の拡大に向け、ライセンスビジネスを行う可能性は。
「スマートフォン向け以外の事業が増えて収益基盤が安定すれば、一つの可能性として考えられる」
【記者の目/サプライヤー体制、整備カギ】
新型液晶に対し顧客からの引き合いは多いという。順調に受注を獲得できれば、JDIの立ち位置は大きく変わるだろう。いかにサプライヤーの陣容を整えられるかが今後の成否を左右する。有機ELが市場を席巻する中、JDIを中心に“液晶の逆襲”が巻き起こる可能性はある。(政年佐貴恵)
(2016/11/11 05:00)
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