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[ 自動車・輸送機 ]
(2016/11/24 05:00)
日産自動車が部品子会社のカルソニックカンセイを米投資ファンドのKKRに売却することを決めた。日産以外のメーカーとの取引を広げやすくし、カルソニックの競争力を高める狙いがある。カルソニックは新しい親会社のもとで次の成長戦略を描いていけるか。真価が問われている。
「日産から独り立ちし、競争力をつけてもらいたい」。日産幹部はカルソニックカンセイを売却する狙いについてこう話した。
カルソニックは車のコックピットモジュールや熱交換器、排気部品、計器類など機械部品を主力にする日産系列で最大のサプライヤー。2015年度は当初計画より1年前倒しで、売上高1兆円の大台を達成するなど足元で好業績を維持する。
こうした中、日産がカルソニックを手放す背景には自動車業界を取り巻く環境の変化がある。自動運転車やネットと接続してサービスを提供する「コネクテッドカー」などの次世代車向けのビジネスが車の新たな競争軸になり、完成車メーカーはもちろん、独ボッシュ、コンチネンタルなどメガサプライヤーや電機メーカー、IT企業といった異業種も同分野に経営資源を集中させ攻勢をかけている。
一方のカルソニック。「実現しなかったものの、業務提携の提案を受けたことがある」(車載機器メーカー幹部)。次世代コックピットの開発を効率化するため他社に戦略提携を持ちかけるなど独自に次の一手を模索していたが「(自動運転やコネクテッドカーなど業界の)新しい潮流についてきているとは言いがたい」。別の日産幹部は厳しい見方を示す。
カルソニックがファンド傘下で独立すれば売り上げの8割を占める日産以外のメーカーとの取引を広げやすくなり、急激な市場変化に対応するための大胆な戦略を打ち出せる。「資本関係がなくなっても、カルソニックとの取引は続く。競争力が高まれば我々にもメリットがある」。別の日産幹部は売却の意義を強調する。
今後、カルソニックはKKRの傘下で次の成長戦略を描いていくことになる。持続的な成長に向けては、まず競合より出遅れていた自動運転やコネクテッドカーなど次世代車載領域での巻き返しが欠かせない。これを実現するにはKKRの支援を受けながら、M&A(合併・買収)など戦略的提携を矢継ぎ早に実行し、有力な技術を取り込む必要がある。
日産色が薄まれば、これまで以上に制約なく企業と組める。複数の部品で構成されるコックピットモジュールの設計技術など、既存の部品事業で培った強みと融合できれば新領域で存在感を強められる可能性は十分にある。「業績が好調な今こそ、メガサプライヤーに成長できるチャンスだ」(日産幹部)。日産から独立して新たな一歩を踏み出す新生カルソニック。新しい親会社とどう競争力を高めていくのか注目される。
(2016/11/24 05:00)
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