[ 機械 ]
(2016/12/1 05:00)
《複屈折マッピング計測装置「KAMAKIRI」向け計測モジュール「PI―5」》
【検査速度5000倍】
スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、フラットディスプレーに用いられる光学フィルムの高機能・低価格化要求は高まっている。これに対応し、フォトロン(東京都千代田区、布施信夫社長、03・3518・6290)が開発した複屈折マッピング計測装置「KAMAKIRI」向け計測モジュール「PI―5」は、従来の5000倍という検査速度を実現した。材料全領域の光学歪(ひず)みをインラインで常時監視する画期的な技術だ。
「全領域に対応できたのは、偏光高速度イメージセンサー開発につきる」と話すのは、イメージング事業本部の大沼隼志光学計測グループ長。従来のセンサーは点の検査しかできず、光学フィルムを巻き取りながら搬送する幅方向に常時トラバースしながら検査するため、ジグザグ状にしか計測できなかった。
【回転動作不要】
現状は平均値データ表示によって入出荷検査が行われており、不可の認定を受けた場合、その前後のロットをキロメートル単位の長さで廃棄するという無駄が生じていた。また、従来の1秒当たりの測定点数は20点程度で、偏光板を回転させながら複数回に分けて取り込んだ光強度情報を順次計算していた。
これに対し、フォトニックラティス(仙台市青葉区)と共同開発したセンサーは、各画素ごとに異なる方位のマイクロ偏光素子を実装。従来は偏光計測に不可欠な偏光板の回転動作を不要にし、1度の露光で偏光計測に必要な光強度情報を得られるようにした。また並列計算処理により、毎秒10万点の計測を可能にし、リアルタイムに光学歪みを可視化することを可能にした。
【10社超が採用】
顧客からは「こんなに速く計測結果が出るとは思っていなかった」など評判は上々で、すでに発売後1年間で20台を受注。国内主要フィルムメーカー30社のうち10社以上で採用されたほか、学術分野では山形大学、京都大学、九州大学などに納入した。さらに韓国、台湾、中国の複数社から引き合いが相次いでいるという。
「光は究極のツール。普遍的で世界一の高速度と細分割ができる物差しだ」と大沼グループ長。今後の展望は「画像計測は点で見るのではなく、面計測かつスピーディーに行うことを業界標準にしたい」と強調する。
(茂木朝日)
(2016/12/1 05:00)
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