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[ 科学技術・大学 ]
(2016/12/6 05:00)
横浜市立大学大学院医学研究科の高橋琢哉教授と竹本研(きわむ)助教らは、恐怖体験に基づくトラウマ(心的外傷)記憶を光の操作で消す技術をマウスで開発した。光に反応して活性酸素を出す物質をマウスの脳に注入した後、マウスに恐怖体験をさせた。脳へ光を直接光ファイバーによって当てたところ、トラウマ記憶の形成に関わるたんぱく質が活性酸素により破壊され、この記憶の一部を消すことができた。
自然災害などを原因とする心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療法開発につながることが期待される。東京大学、大阪大学との共同研究。
成果は6日、ネイチャー・バイオテクノロジー電子版に掲載される。
研究チームは、神経細胞間の情報を受け渡す場所「シナプス」で、「AMPA(アンパ)受容体」と呼ばれるたんぱく質がトラウマ記憶の形成に関与していることに着目した。同受容体と結合し、光を当てると活性酸素を出す物質をマウス脳内の海馬に注入。このマウスに、「実験箱の中の暗い場所に行くと電気ショックにあう」という恐怖体験をさせた。
その後、時間を置いてマウスを同じ箱に入れ、暗い場所に再び行くまでの時間を計測した。光照射をしないマウスは平均300秒弱を要したが、恐怖体験後2時間以内に光照射したマウスは同150秒程度に短縮し、恐怖記憶が弱まったことを確認できた。
人間への応用を考えた場合、光を直接に照射するのではなく、放射線などを活用することが考えられるという。
(2016/12/6 05:00)
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