[ オピニオン ]
(2016/12/6 05:00)
開館50周年を迎えた東京・銀座のソニービルが、老朽化により2017年4月に解体される。それまで『It’saSony展』と題し、創業70周年のソニーの歴史を振り返る最後の無料イベントを開催中。
創業者の盛田昭夫氏は、単なるショールームを超えた文化の発信拠点を目指した。交差点角の30平方メートルほどの『スクエア』は時代を映す鏡となり、数寄屋橋のランドマークとしても親しまれた。
段差のあるフロアをらせん状に並べた独特の“花びら構造”も名物だ。『〜Sony展』は、もうひとりの創業者・井深大氏の「自由豁達(かったつ)ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」で名高い旧・東京通信工業の『設立趣意書』を低層部に配置し、階を上がるごとに時代の新しい製品をみられる趣向。
解体後は18年に広場型の『ソニーパーク』として再開する。その後、ビルを建てるかどうかを議論することが展示の最後に示唆されている。
懐かしいラインアップの中に手になじんだものがあった。高剛性の筐体から、歪みのない音を再生する傑出した性能。長期にわたり製造された音響のプロ御用達の名品で、庶民でも背伸びすれば入手できるのが魅力だった。『カセットデンスケ』は、今もわが家の現役だ。
(2016/12/6 05:00)