[ オピニオン ]
(2016/12/7 05:00)
4月の熊本地震から間もなく8カ月。熊本市内はそうでもないが、震源に近い益城町は随所に傷跡が残る。2階建て住宅の1階が押しつぶされ、あたかも平屋のごとくになった建物が残されているのを見ると、復旧の難しさを思う。東日本大震災も同じだが、復旧・復興には時間がかかると痛感した。
備えあれば憂いなしという。熊本城を築いた加藤清正公は、城内に井戸を100カ所以上掘るなどして籠城戦に備えた。ただ戦国の世が終わってから成った城だけに、あまたの井戸も実際の役に立つことはなかったようだ。
翻って企業の防災対策はどうだろうか。あるセキュリティー会社の社長は「中小企業の防災意識は決して高くない」と警告する。大型地震が相次ぐ中にあって、有事に備えて防災対策をいま一度、点検しておいた方がいいだろう。
従業員の安否確認の方法。原材料の調達や商品の販路の確認。取引先のサプライチェーンの安全性。調べておくべきことは少なくない。一度訓練しておくと災害時にも慌てずに済むという。
少しでも被災地に貢献しようと商店街で地酒を買い求めた。わが家でも酒の残量だけは常に把握しているが、もっと清正公の備えを見習わないといけない。
(2016/12/7 05:00)