[ 人物 ]
(2016/12/19 05:00)
適切な組成配分追究
「ガラスの魅力はキレイで長持ちするところ」と笑顔で語るのは日本板硝子の宮本瑶子さん(28)。技術研究所(兵庫県伊丹市)で、建築用のガラス基板に塗布して耐久性などの機能を高めるコーティング液の適切な組成配分を探索する。日常生活でもガラスが目に触れる度にコーティングが頭をよぎる。車に乗った時に車内が暑いと「ガラスに何か塗ってくれれば」とつい思ってしまうほど。ガラスの美しさを保ちつつ、機能性を付加する有効なコーティング液を追い求める。
高機能ガラス、新しいモノを
ゾルゲル法という手法を用いて、液の調合、コーティング、乾燥工程を経てガラスに非常に薄い膜を塗布しています。液の組成探索では何十種類と作った中で期待した効果、特性の結果が得られたときはうれしいです。今は建築用のガラスを担当していますが、入社当初は太陽電池用でした。どちらもゾルゲル法で仕事の流れもほとんど同じなので、特にギャップは感じませんでした。
同じグループの女性の先輩がOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)アドバイザーに就いてくれています。“こうなりたい”という先輩が近くにいて、恵まれた環境です。「研究所」にはそれぞれの専門家がおり、開発過程で困った時はいつでも相談できます。
出身は兵庫県。新しいモノを作ることに興味があったので、大阪大学大学院基礎工学研究科で物理化学を専攻しました。就職活動は自分の専攻にこだわらず幅広く行い、素材としてのガラスに関心を持ちました。
大学での研究では修士論文に向けて長いスパンで実験をしますが、会社での開発はすぐに欲しいデータがあるので、目標を立てて短期間で結果を出す必要があります。確かに大変ですが、やりがいも大きいです。
趣味は旅行。最近はシンガポールでリフレッシュ。入社後は運動不足解消のため、ホットヨガを始めました。
(文=大阪・日下宗大、写真=同・清家史彦)
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(2016/12/19 05:00)